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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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コラボ作品 Happening 

7月3日
コラボ作品第二弾、Happeningを更新しました!

敬愛するkababonさまによる、素晴らしいイラストとの
コラボ作品第二弾です。

このイラストを拝見した瞬間、
江原さんの「あっ!」と言う、
狼狽しつつも艶のある色っぽい声が、
瞬時に脳内再生されたのは言うまでありません!
もう素敵過ぎて、頭がクラクラしっぱなしです!
アラコン万歳!!!

そしてリンクにkababonさまのサイト
カバ的妄想避難所のリンクを貼らせていただきました!

類稀に繊細で、美しいイラストと
共感せずにはいられないアラコンのお話の数々が満載です!
一度拝見したら、ずっと目に焼きついて離れなくなってしまう位
印象的で魅惑的なイラストを描かれるkababonさまのサイトは
アラコンファンの心のオアシスです!

一度クリックされたイラストの右下隅を
もう一度クリックしていただくと
更に鮮明な画像で表示されます。



6月24日拍手のお返事です!

>いせざきさま
お世話になっております!
そしてお読みいただき、ありがとうございます!

>二人もついにここまで辿り着いたかと
>感無量の美しいお話にうっとりでした。
今回のコラボは、kababonさんのイラストがあってこその
お話になりました。
イラストの繊細な部分を表現し切れたかどうか不安ではありますが、
いせざきさまにそう仰っていただいて、ホッとしております。
アンソロ本の編集作業、本当にお疲れ様です。
読み応えのある、まさにスペシャルな一冊の発行を
心より楽しみにしております!

激しい雷鳴と共に降り出した大粒の雨。
乾いた石畳は瞬く間に雨粒に覆いつくされいく。
黒く分厚い雲は一筋の光すら漏らすことを許さず、地上に圧迫感を与え続ける。
叩き付けるような雨は、小さな物音まで即座に掻き消すような勢いで絶え間なく降り続く。
止みそうもない雨を不安な気持ちで見つめながら、コンスタンスは一人の男の行方を案じていた。
つい一時間ほど前に午後の見回りに行くと言って、颯爽とした身のこなしで家を出て行った、長身の銃士との小さな会話が蘇る。


「この雲の感じだと、この後激しい雨が降りそうです。今日の見回りはお止めになった方がよろしいのではないですか?」

差し出がましい真似とは知りつつも、そう言わずにおれなかった気持ち。
理由は分からないけれど、見回りに行くのを思い留まらせようとする想いから出た言葉は、直向な気持ちが宿っていた。

「お気遣いありがとう、コンスタンス。ご心配には及びません。これは私の大事な仕事ですから」

口元に穏やかな笑みを浮かべて話す男は、彼女の心配する気持ちを有難く受け止めながら、迷わず己の任務を全うする選択をした。
部外者からの申し出に対して、丁寧な口調で答える言葉の端々に、彼の誠実さが如実に表れていた。
彼女の想いを尊重しながらも、傷つかないように断りの言葉を述べる背景には、彼の人に対する思い遣りの気持ちが滲んでいた。

「すみません。私、出しゃばった事を言ってしまいましたね。お気を悪くされたのならすみません」

僅かに俯いて、謝るコンスタンスに対し、アラミスもまた彼女の気持ちを汲み取った言葉を漏らす。

「貴女が謝る必要はありませんよ。むしろこちらが貴女に感謝しなければならないはず。さっきの言葉は私の事を気遣ってくれた上での意味だと、充分承知しています。貴女が仰るように雨が酷くならないうちに、早めに見回りに行ってくることにします」

柔らかな眼差しは、いつもいつでも、人に対する感謝の念を忘れずにいる気持ちが溢れていて。
自分が発した愚かな言葉さえ、全て丸ごと包み込んでくれる優しさに、つい甘えてしまいたくなる。
しかしそれはきっと、誰に対しても同じ態度であるのだと判っているがゆえに、心は立ち止まったままで。

「では、行って参ります」

使命を帯びた眸が、一際鮮やかさを増すと同時にアラミスの全身に仄かな緊張感が漂う。
徐々に視界から消えていく背中を見送りながら、コンスタンスは小さな呟きを漏らす。

「行ってらっしゃいませ。どうぞ雨に濡れませんように」

言い掛けた言葉の先が、雨が降る直前の重く湿った空気に押し潰されていった後、間を置かずして降り出した雨足の強さに不安を感じずにはいられないコンスタンスだった。

周りの景色を遮断するかのように、激しく降り続く雨の勢いは止まる所を知らず、コンスタンスの不安を更に煽っていく。
幾度となく窓に近づいて外の様子を窺っても、ひっきりなしに降る雨の勢いにおされて、ただ立ち尽くすばかり。


アラミスさんの事だから、きっと何処かで雨宿りしているに違いないわ。


不安な心を落ち着かせようと、気持ちを切り替えようとした瞬間、いきなり開いたドアがコンスタンスの意識を止めた。
前触れもなく無造作に開いたドアの向こう側から、部屋に入ってきた男の姿を認めて、コンスタンスは小さな叫びを上げる。

「アラミスさん!」

名を呼ばれた男は全身が濡れそぼり、顔に掛かった髪の毛からは雫が幾筋も滴り落ちては、顔面を滑り落ちていく。
一見するとお化けの様な風貌だが、持って生まれた気品はずぶ濡れになった姿のままでも失われていなかった。

「驚かせてすまない、コンスタンス。やはり貴女の言う通りだった」

雨に濡れた為か、やや疲れが垣間見えるアラミスの表情を見た瞬間、心配していた気持ちが一気に爆発するのを止められない。
普段よりも数倍早口でアラミスに話し掛けるコンスタンスの表情は、真剣そのもの。


「早く身体を拭かないと、風邪を引いてしまいます!今、身体を拭くものをお持ちしますから、どうかもう少しだけ待っていてください」


いつも冷静で落ち着いた印象のあるコンスタンスが、これ程まで取り乱す様子を目の当たりにしたアラミスは驚きながらも、彼女をやんわりと抑えにかかる。

「そんなに慌てなくても大丈夫。これくらい濡れても、どうってことはありません」

しかし、その言葉は却ってコンスタンスの心配に拍車を掛けるだけだった。

「いいえ!国王陛下をお守りするという大事な任務を仰せつかっているアラミスさんを、このまま放っておいて風邪を引かせてしまったら、陛下に申し訳が立ちません。他の方にもご迷惑が掛かってしまいます。ここは私の言う通りになさってください」

普段のコンスタンスからは想像できない強い口調で訴えられて、アラミスは反論の機会を失ったまま口を閉ざした。
しかしそれと同時に、彼女が自分の事を心底心配しているからこその、真摯な気持ちに接して、何故か心が安らいでいく自分に気がついていた。
自分の返答も聞かぬまま早足で家の中を駆け回り、濡れた身体を拭く布を用意しているコンスタンスの姿を認めて、いつしか穏やかな気持ちに包まれていく不思議な感覚。
しばしこの時間を楽しんでみたいという欲求が、訳もなく自分の胸の内で沸き起こった事に、アラミスは新鮮な気持ちを感じていた。

「これで身体をお拭きください。足りなければ、いくらでもご用意いたしますから、遠慮なくお申し付けください」

真剣な表情で訴えながら、両手一杯に布を抱えたコンスタンスの眸に、直向な想いが滲む。
その一途な思いに接して、アラミスもまた誠意で応じるのだった。

「ありがとう、コンスタンス。早速身体を拭きたいのは山々なのだが・・・・・・
濡れた身体を拭くために御婦人の前でいきなり服を脱ぐのは、これでも少し抵抗があってね。申し訳ないが少しの間、後ろを向いていてはもらえないだろうか?」

コンスタンスが傷つかないように、少しユーモアを交えながら小さな笑みを浮かべて話すアラミスの表情は穏やかそのもの。
反対にアラミスからの言葉を受けて、コンスタンスは己の考えの至らなさに、恥かしさで顔が一瞬して真っ赤に染まる。

「すみません!私、そこまで気付いていませんでした」

口に手を当てて心底申し訳なさそうに謝るコンスタンスの顔が、僅かに歪む。
その表情を見た途端、アラミスの心に小さく鋭い痛みが走った。

「いいえ、私の方こそ、少し言い過ぎました。貴女が私の為に一所懸命して下さったことは分かっているつもりだったのに、却って貴女を傷つけてしまったようだ。こちらこそ、申し訳ない」

お互いが謝りあう状況に気付いて、険悪になりそうだった雰囲気も一瞬にして弾け飛ぶ。

「・・・どことなく似ているのかもしれないな、私と貴女は」

アラミスの言葉を噛み締めながら、そっと背を向けるコンスタンスは小さく頷きながら答えるのだった。

「もしかしたら、そうなのかもしれませんね」


緩やかな沈黙が続いた後、背中越しから届く衣擦れの音を聞きながら、
コンスタンスはアラミスの銃士服の襟元に僅かな綻びがあったのをふと思い出した。
身体を拭いている最中のアラミスの方へ振り返る訳もいかず、
逡巡する気持ちが身体を駆け巡るが・・・・・・やはりお針子としての小さなプライドは躊躇う気持ちを上回っていた。

言い掛けて何度も飲み込んだ言葉をようやく解き放ったのは、アラミスの気配が静かになったのと同時だった。

「アラミスさん、もしよろしかったら今から言うことを聞き届けていただけませんか?」

全神経を集中して、背中越しのアラミスの気配を察そうとするコンスタンス。
その緊張しきって固まったような身体を見つめながら、アラミスは疑問符を投げ掛ける。

「いきなり、どうしました?コンスタンス。何だか貴女がとても緊張しているように見受けられるのだが?」

察しがいいのは、時と場合によっては、相手を追い込む究極の手段なのかもしれない。
今の自分の心境を見事に言い当てられたようなアラミスの言葉に、コンスタンスは激しく狼狽する。
しかし、それも束の間、胸の内で渦巻いていた、なけなしの勇気を振り絞って紡ぎだした言葉がアラミスの元へと届く。

「先だって拝見したところ、銃士服の襟元に僅かな綻びがあるのを見つけました。差し出がましい真似とは重々承知しておりますが、よろしかったらその綻びを私に繕わせてもらえないでしょうか?」

理路整然と語られた言葉ではあるけれども、どこかぎこちない言い方がコンスタンスの気持ちと同調しているようで。
その言葉を搾り出すのに、さぞかし勇気が必要だったと思わせる彼女の身体の震えが、アラミスの心をキュッと締め付ける。
断られるかもしれない予感を携えて、それでもなお訴えずにおれなかったようなコンスタンスの気持ちに、アラミスの心もいつしか歩み寄っていくようで。

「貴女に繕ってもらえるのなら、この銃士服もさぞかし喜ぶでしょう。
早速お願いしてもよろしいかな?」

よもや聞けると思わなかったアラミスからの快諾の返事を受け、嬉しさを抑えきれないコンスタンスだった。

「承知致しました!」

高揚する気持ちが込められた言葉は、部屋の空気を瞬く間に塗り替えていった。


互いの背中越しから伝わる雰囲気は、いつにも増して円やかな時間を時間を紡ぎ出しているようで。
微妙な隙間を隔てて、背中合わせに椅子に座っているふたりの間を、
はにかむように通り過ぎていく風が時の狭間に消えていく。
忙しい日常をふと忘れさせるような、心地よい時間に身を任せながら、
ふたりは互いの存在の必要性を無意識に感じているのだった。

誰にも邪魔されず、ひとり静かに本を読み耽るのが好きだったアラミスだが、
何故かコンスタンスと一緒にいる時に限って、その時間が数倍楽しいものだと気付いたのは、つい最近。
コンスタンスもまた、とりとめもない話を穏やかに、そして真剣に聞き入れてくれるアラミスの存在が
何よりも大事だと気付き始めて。
深く静かに近づいていくような心の距離を認めながらも、一方で無意識に自制せざるを得ない
現実が大きな壁となって立ちはだかっていた。

それでもやはり、芽生え始めた感情を即座に打ち消すには、二人とも既に心を許し合いすぎていた。
恋心を表にしない分だけ、より深くなっていく想いに戸惑いながらも、
徐々に心を通わせ合っている二人に、時は優しく微笑み掛ける。


上半身裸のままで、肩から大きな布を引っ掛けただけのアラミスを待たせぬように、コンスタンスは懸命に綻びを繕う。
無心で針を動かしているつもりでも、念頭にあるのはアラミスに風邪を引かせてはならぬという、ただそれだけの想いが、コンスタンスの両手を休まずに動かし続けるのだった。
針を動かしながらも、コンスタンスはアラミスの銃士服について、アトスやポルトスと明らかに違う点を即座に見つけ出していた。
それは自分が想像しているアラミスの行動とは、全く逆の様相を呈しており、その部分に関して何故か引っ掛かりを覚えるコンスタンスだった。

そう思いながらも、針を動かす手を休めず、程なくしてコンスタンスは銃士服の綻びを全て繕い終えた。
ホッとするのも束の間、背を向けたままの姿勢でコンスタンスはアラミスに語り掛ける。

「お待たせしました。全部、お直し出来ました、アラミスさん!」

仕事を遣り終えた満足感から漏れる言葉の勢いは、普段にも増して朗らかな声となってアラミスの耳に届く。
その声を聞いた瞬間、アラミスの心にもコンスタンスと似たような高揚感が同時に走った。

「ありがとう、コンスタンス!こんなにも早く繕い終えてしまうとは、さすがにアンヌ王妃が貴女を直々に侍女に指名した理由が良く分かります。
助かりました。・・・・・・さて、どうやって貴女から銃士服を渡していただけばいいのだろうか?」

アラミスの天然ぶりは衰えを知らず、些細な事にまで真面目に思い悩む彼の言葉にコンスタンスも思わず小さな笑い声を漏らす。

「では、私が目を瞑ったまま後ろを振り向いて、手の上に銃士服を乗せていますからアラミスさんは銃士服をお取りになって、そのまま着替えられればよろしいのではないでしょうか?」

「成る程!それは名案だ。では、早速貴女のお言葉に甘えて、そうさせていただこう」

あまりに真剣に言い放つアラミスの実直で誠実な性格そのものの言葉に癒され、コンスタンスもつい心が緩んで、さっきまで胸に渦巻いた疑問をつい漏らしてしまうのだった。

「アラミスさん、一つ伺ってもよろしいでしょうか?」

目を瞑ると同時に、自分の方に向かってゆっくりと振り返しながら、話し掛けるコンスタンスにアラミスもまた彼女の意見を尊重する姿勢を取った。

「お手柔らかにお願いしますよ、コンスタンス」

コンスタンスの聡明な性格を知った上で、少しおどけたように答えるアラミスの言葉には彼女に対する全幅の信頼が寄せられていた。
相当心を許さなければ、女性に対してこういった砕けた会話すらしないアラミスの、まさかとも思える発言に、アトスとポルトスがもしこの場にいたら迷わず耳を疑ったに違いない。

「綻びを繕いながら思ったんです。銃士服についている染みを、何故落とされないのかと」

その瞬間、部屋に漂っていた空気が一変したのを、目を閉じならも敏感に気付いたコンスタンスだった。
僅かな空気の変化で、アラミスが息を呑み、身体が固くなった気配が目を瞑ったままでもヒシヒシと伝わってくる。
同時にピーンと張り詰めた緊張感が、部屋全体を瞬く間に覆っていくのにも気付いた。
その急激な変化に、コンスタンスの気持ちも一気に不安が増していく。
黙ったままのアラミスが、何よりもその緊張感を作り出している原因であることも。

長いような短いような沈黙が続いた後、小さな小さな吐息を漏らしてアラミスが話を切り出す。
漏れ出す言葉は空気を震わせるようにして、部屋の片隅に消えていった。

「やはり察しのいい貴女には隠し事は無駄なようだ。いや、隠している訳ではなかったのだが、今まで誰も分からなかったのに、貴女にだけは気付かれてしまうとは」

「アラミスさん?」

目を閉じていても、声を聞くだけで、今、アラミスがどんな表情で自分に話しかけているか、コンスタンスには全て分かるような気がした。
おそらく彼は、少し困惑した表情のまま、口元にほろ苦い笑みを浮かべているに違いない。
顎に右手を添えて、僅かに考え込むような仕草が手に取るように分かる。
口元に笑みを浮かべてはいても、きっと笑っていないであろう眸が、彼の悩みの深刻さを表しているに違いなかった。

「・・・・・・これは、私が斬った人々の返り血なのです」

「!」

淡々とした口調から紡ぎ出される真実。
その事実の重さと共に、乾いた声から発せられる言葉には想像を絶するアラミスの哀しみが込められているように思えた。
相当悩んで、苦しんで、それでもまだ心の傷を癒しきれていないことを
如実に表しているのは、その冷静な声だった。
感情が昂ぶって、涙声になりながらも、そう話せるのはまだ救いがある。
それすらも一切放棄して、全て己一人が罪を背負いきる覚悟を決めているからこそ、こんなにも冷静で落ち着いた口調で話すアラミスの心を思って、コンスタンスの心は張り裂けそうになる。

「私は決めたのです。どんなにこの銃士服が綻ぼうとも、この服を一生着続けることを。彼らの無念の想いが返り血の染みとなって、この銃士服に付いているのです。私は彼らの想いを永遠に受け止め続ける為に、この服を着続けなければならないのだと」

「アラミスさん、それは・・・それはあまりにも辛すぎます!」

アラミスとの約束を破って、思わず見開いた眸に映ったアラミスの哀しげな微笑。
耐え難い想いをたった一人で受け止め、残りの人生全てを贖罪に費やそうと決めたアラミスの壮絶な覚悟に触れ、コンスタンスは堪らずアラミスに抱きついた。
引き締まった素肌の奥に、一生掛けても癒しきれない哀しみの欠片が無数に散りばめられているアラミスに、コンスタンスはその聡明な心で柔らかく包み込んでいく。

「もう充分すぎる位、貴方は罪を償ってこられました。これ以上御自分を傷つけられるのはお止めください!」

突然のコンスタンスの行動に、アラミスはコンスタンスに縋りつかれるまま
ただ呆然と立ち尽くすだけだった。
一方でこんなにも自分の身を案じてくれるコンスタンスの想いに、僅かばかり同調していく気持ちが胸の奥で生じ始めていた。
素肌を通じて伝わってくる、コンスタンスの温かい泪が自分の為だけを想って流されている事実に、動揺が隠し切れなくなる。

「私の為に、泣かなくてもいいのです、コンスタンス。私は自分の罪の大きさを知っています。血が染み付いた銃士服を着続ける事だけで、罪の償いは終わったとは想っていません。自惚れかもしれませんが、私のせいで貴女を泣かせてしまうのは・・・正直、とても堪えます」

不器用なほど、真っ正直で誠実なアラミスの心に触れて、コンスタンスは彼への想いが自分でもどうしようもない位に深く、激しくなっていくのを止められない。

「こうして普通に暮らせるようになるまで、一体どれだけ悩まれ、苦しまれてきたのか私には少し分かる気がします。だからせめて、もうこれ以上御自分を責めるのはお止しになってください!」

裸の胸に縋り付いたまま、必死に訴え続け、泪を流し続けるコンスタンスをそっと見下ろしながら、アラミスは小さく呟くのだった。
コンスタンスの柔らかく温かい真心に包まれて、再びしなやかに生まれ変わろうとする自分を心の片隅で見つめつつ。


「貴女の泪は、私にとって貴すぎました。今はただ、貴女に感謝の気持ちを捧げることだけしか出来ません。ありがとう、コンスタンス」


激しく降っていた雨も止み、やがて部屋の中に眩しい光の波が差し込み始める。
強く煌く光に誘われるように、一歩踏み出した二人の気持ちは、くっきりと映りこんだ心の虹で繋がっていくのだった。

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