クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
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25話~26話の間 三銃士
さっき更新した記事で、「更新は少し間を置きます」と言っておきながら・・・・・舌の根も渇かぬ内に嘘を吐いてしまってすみません;;;
でも、どうしても押えておきたいエピソードだったので、先程の記事をUPしてから実質30分で書き上げました。
よろしかったらどうぞ
でも、どうしても押えておきたいエピソードだったので、先程の記事をUPしてから実質30分で書き上げました。
よろしかったらどうぞ
「・・・・・・んで?こんな朝っぱらから何の話?」
生欠伸を噛み殺しながら、頭をポリポリと掻くポルトスの眼はまだ半分しか開いておらず、夢見心地の状態が続いたままでアラミスに問い掛ける。
「おい!俺が朝弱いって分かってて招集かけたんなら、それなりに重大な話なんだろうな?昨日の酒がまだ残ってるから、話が終わったら俺は即、二度寝するぞ!」
朝早いことと、二日酔いという二重の苦痛が身体を襲っているアトスの機嫌は、一歩間違えば爆発しかねない危うさを秘めていた。
酒で荒れた声を轟かせ、テーブルの上に片肘を立ててギロッと睨みを利かせるアトスの凄みを見たら、何も知らない人間はびびりまくるに違いない。
そんなアトスの脅かしに驚く素振りすら見せず、寧ろいつものことと平然と受け止めているアラミスは二人の銃士に視線を向けると、穏かな声で語り出した。
聖書の講義を教えるように流暢で滑らかな声の響きは、朝の凛とした空気にすんなりと溶け込む。
その厳かな朝の雰囲気に馴染みきっているようなアラミスとは反対に、夜の名残を色濃く引き摺っているようなアトスとポルトス。
不協和音を奏でる間際の、どことなくチグハグな佇まいが対照的ではある。
「二人とも朝早くからすまない。実は二人に話していなかったことがあってね」
「へぇ~?アラミス先生には珍しく、俺達に隠し事があったとはねぇ~!それってもしかして女関係?」
興味津々の表情を浮かべて根掘り葉掘り問い質そうと機会を窺うポルトスの眠気は完全に吹っ飛んでいるようである。
殊、艶事に関してはさすが他の追随を許さない、『自称:愛の狩人』を自負する艶福家ポルトスの面目躍起、ここに極まる。
「残念だが、君の御期待に沿える話ではない」
さらっと受け流すアラミスに、ポルトスはプッと頬を膨らませ、不満の意思表示を訴える。
「チェッ!何だよぉ~。せっかく面白い話になるかと思って期待してたのに、結局肩透かしかよぉ~!ってか、そんな話をアラミスに求める方がそもそも間違ってんのか」
独りで憤慨し、独りで納得しているようなポルトスの態度を見ながら、アラミスは一瞬苦笑いを浮かべるとそのまま話を継いだ。
「艶話は君ひとりだけでお腹一杯だよ、ポルトス。・・・・・・話を本題に戻そう。実はコンスタンスを救出した時に私の知り合いがいる修道院に匿ってもらう前に、彼女を落ち着かせるために宿屋を借りたんだ。その時の宿賃と食事代をここから黙って借りていったままなんだ。これは私個人で決めたことだから、そのお金は来月分の私の給料から差し引いた金額で全額戻すつもりでいる。それまで多少不足するかと思うが承知しておいてほしい。今まで黙っていて済まなかった」
言いながら深々と頭を下げつつ詫びるアラミスを見て、アトスの全身がワナワナと震えだす。
「・・・・・アラミス、お前、そんな下らない事で俺たちを朝っぱらから呼び出して、貴重な睡眠時間を奪ったのか?」
腹のそこに溜めた怒りの源を抑えようとしても抑え切れない思いが、震える声に滲む。
「お金を使う際は、予め全員の了承を得てから使う決まりになっている筈。私は独断でその禁を破った」
その冷静過ぎるほどの言い回しに胸の中で何かがパチンと弾けたアトスは、いきなりアラミスに駆け寄って胸倉を掴みあげながら、ドスの効いた声でまくしたてる。
「馬鹿野郎っ!俺達がそんな事でお前を責め立てると思ってんのか!?事態の重要性を考えて判断しろッ!緊急性がある場合は、そんな悠長な事は言ってらんねぇだろうがッ!!!」
「しかし、これは皆で決めた約束だから・・・・・」
アトスの剣幕に怯まず、尚も食い下がろうとするアラミスを見兼ねて、ポルトスがやれやれと言った風にアトスとアラミスの間に割って入る。
「アラミスよぉ。お前さんの言いたいことは分かるが、ここはアトスの言うとおりだと俺は思うぜ。もしかしてお前さんは自分の金で解決しようと思ってるらしいが、これは・・・・・・俺達全員の金で皆が平等に負担する事案なんじゃねぇのか?」
ポルトスの言い分を黙って聞いていたアトスは、アラミスの胸倉を掴んでいた手を静かに外すとゆっくりとアラミスに背を向けながら、ボソリと吐き捨てた。
「俺達の総意を受けてお前が代表してコンスタンスを助けに行った。これに間違いないんだから、この話はこれで終了!よって分担金もみな一律で平等!異議は絶対認めねぇ!朝っぱらから怒鳴り散らかしたんで、俺は今から二度寝するぞ!いいか?もう下らない話で俺の事を起こすんじゃねぇぞ!」
「アトス・・・・・」
ガタガタと大きな音で足を踏み鳴らして寝床に辿り着いたアトスは、そのまま毛布を頭から被り、眠りに集中しようとしていた。
その無粋で荒々しい優しさにアトスらしさが滲んでいるようで、アラミスは改めて彼の懐の大きさに胸が熱くなる。
「なぁ、アラミス。お前さぁ、何でも杓子定規で考えようとすんなよ。俺がお前の立場だったらやっぱりコンスタンスの事を一番に考えて、彼女が一番安心できる方法を取っただろうさ。この際、金云々は度外視。違うか?」
肩をポンポンと叩きながら、優しく諭すポルトスの表情に穏かな笑みが浮かぶ。
「きっとさ、コンスタンスもお前に助けられた時、心底ホッとしたんだと思うよ。今、彼女の心は深く傷付いている筈なんだから、誰かが傍についていないと不安で仕方ないんだよ。もう少し経ったらさ、修道院に顔出して来た方がいいんじゃないの?」
ポルトスの言葉を聞きながら、アラミスの脳裏に浮かぶコンスタンスの悲しげな眸。
裏切られたショックがまだ癒し切れない筈の彼女に、今、自分が出来ることと言ったら顔を出して、たった一言だけでも声を掛けてあげることだと思い至った瞬間、胸の奥で小さな疼きが生じた。
その疼きの意味すら、今はまだ何なのか気づいていないアラミスだった。
「君の言う通りかもしれない。後で少し顔を出してくる」
アラミスの言葉を満足そうな顔で聞くポルトスは、おそらくこのやり取りを寝たフリをしながら聞いているであろうアトスの背中を見詰めながら小さく頷くのだった。
生欠伸を噛み殺しながら、頭をポリポリと掻くポルトスの眼はまだ半分しか開いておらず、夢見心地の状態が続いたままでアラミスに問い掛ける。
「おい!俺が朝弱いって分かってて招集かけたんなら、それなりに重大な話なんだろうな?昨日の酒がまだ残ってるから、話が終わったら俺は即、二度寝するぞ!」
朝早いことと、二日酔いという二重の苦痛が身体を襲っているアトスの機嫌は、一歩間違えば爆発しかねない危うさを秘めていた。
酒で荒れた声を轟かせ、テーブルの上に片肘を立ててギロッと睨みを利かせるアトスの凄みを見たら、何も知らない人間はびびりまくるに違いない。
そんなアトスの脅かしに驚く素振りすら見せず、寧ろいつものことと平然と受け止めているアラミスは二人の銃士に視線を向けると、穏かな声で語り出した。
聖書の講義を教えるように流暢で滑らかな声の響きは、朝の凛とした空気にすんなりと溶け込む。
その厳かな朝の雰囲気に馴染みきっているようなアラミスとは反対に、夜の名残を色濃く引き摺っているようなアトスとポルトス。
不協和音を奏でる間際の、どことなくチグハグな佇まいが対照的ではある。
「二人とも朝早くからすまない。実は二人に話していなかったことがあってね」
「へぇ~?アラミス先生には珍しく、俺達に隠し事があったとはねぇ~!それってもしかして女関係?」
興味津々の表情を浮かべて根掘り葉掘り問い質そうと機会を窺うポルトスの眠気は完全に吹っ飛んでいるようである。
殊、艶事に関してはさすが他の追随を許さない、『自称:愛の狩人』を自負する艶福家ポルトスの面目躍起、ここに極まる。
「残念だが、君の御期待に沿える話ではない」
さらっと受け流すアラミスに、ポルトスはプッと頬を膨らませ、不満の意思表示を訴える。
「チェッ!何だよぉ~。せっかく面白い話になるかと思って期待してたのに、結局肩透かしかよぉ~!ってか、そんな話をアラミスに求める方がそもそも間違ってんのか」
独りで憤慨し、独りで納得しているようなポルトスの態度を見ながら、アラミスは一瞬苦笑いを浮かべるとそのまま話を継いだ。
「艶話は君ひとりだけでお腹一杯だよ、ポルトス。・・・・・・話を本題に戻そう。実はコンスタンスを救出した時に私の知り合いがいる修道院に匿ってもらう前に、彼女を落ち着かせるために宿屋を借りたんだ。その時の宿賃と食事代をここから黙って借りていったままなんだ。これは私個人で決めたことだから、そのお金は来月分の私の給料から差し引いた金額で全額戻すつもりでいる。それまで多少不足するかと思うが承知しておいてほしい。今まで黙っていて済まなかった」
言いながら深々と頭を下げつつ詫びるアラミスを見て、アトスの全身がワナワナと震えだす。
「・・・・・アラミス、お前、そんな下らない事で俺たちを朝っぱらから呼び出して、貴重な睡眠時間を奪ったのか?」
腹のそこに溜めた怒りの源を抑えようとしても抑え切れない思いが、震える声に滲む。
「お金を使う際は、予め全員の了承を得てから使う決まりになっている筈。私は独断でその禁を破った」
その冷静過ぎるほどの言い回しに胸の中で何かがパチンと弾けたアトスは、いきなりアラミスに駆け寄って胸倉を掴みあげながら、ドスの効いた声でまくしたてる。
「馬鹿野郎っ!俺達がそんな事でお前を責め立てると思ってんのか!?事態の重要性を考えて判断しろッ!緊急性がある場合は、そんな悠長な事は言ってらんねぇだろうがッ!!!」
「しかし、これは皆で決めた約束だから・・・・・」
アトスの剣幕に怯まず、尚も食い下がろうとするアラミスを見兼ねて、ポルトスがやれやれと言った風にアトスとアラミスの間に割って入る。
「アラミスよぉ。お前さんの言いたいことは分かるが、ここはアトスの言うとおりだと俺は思うぜ。もしかしてお前さんは自分の金で解決しようと思ってるらしいが、これは・・・・・・俺達全員の金で皆が平等に負担する事案なんじゃねぇのか?」
ポルトスの言い分を黙って聞いていたアトスは、アラミスの胸倉を掴んでいた手を静かに外すとゆっくりとアラミスに背を向けながら、ボソリと吐き捨てた。
「俺達の総意を受けてお前が代表してコンスタンスを助けに行った。これに間違いないんだから、この話はこれで終了!よって分担金もみな一律で平等!異議は絶対認めねぇ!朝っぱらから怒鳴り散らかしたんで、俺は今から二度寝するぞ!いいか?もう下らない話で俺の事を起こすんじゃねぇぞ!」
「アトス・・・・・」
ガタガタと大きな音で足を踏み鳴らして寝床に辿り着いたアトスは、そのまま毛布を頭から被り、眠りに集中しようとしていた。
その無粋で荒々しい優しさにアトスらしさが滲んでいるようで、アラミスは改めて彼の懐の大きさに胸が熱くなる。
「なぁ、アラミス。お前さぁ、何でも杓子定規で考えようとすんなよ。俺がお前の立場だったらやっぱりコンスタンスの事を一番に考えて、彼女が一番安心できる方法を取っただろうさ。この際、金云々は度外視。違うか?」
肩をポンポンと叩きながら、優しく諭すポルトスの表情に穏かな笑みが浮かぶ。
「きっとさ、コンスタンスもお前に助けられた時、心底ホッとしたんだと思うよ。今、彼女の心は深く傷付いている筈なんだから、誰かが傍についていないと不安で仕方ないんだよ。もう少し経ったらさ、修道院に顔出して来た方がいいんじゃないの?」
ポルトスの言葉を聞きながら、アラミスの脳裏に浮かぶコンスタンスの悲しげな眸。
裏切られたショックがまだ癒し切れない筈の彼女に、今、自分が出来ることと言ったら顔を出して、たった一言だけでも声を掛けてあげることだと思い至った瞬間、胸の奥で小さな疼きが生じた。
その疼きの意味すら、今はまだ何なのか気づいていないアラミスだった。
「君の言う通りかもしれない。後で少し顔を出してくる」
アラミスの言葉を満足そうな顔で聞くポルトスは、おそらくこのやり取りを寝たフリをしながら聞いているであろうアトスの背中を見詰めながら小さく頷くのだった。
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