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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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面影 第16話~第17話の間

第26話でアラミスが王妃に謁見した時、
王妃がアラミスに対して放った強烈な一言の、前フリ(?)みたいなお話です。
時期的に第16話~17話までに起こった事として書きました。

よろしかったらどうぞ

※Web Clapボタンを押していただいた方、ありがとうございます!


「・・・・・・そうでしたか。コンスタンスとダルタニアンがロンドンへ」

心なしか王妃の口調に翳りが見える。
不安を拭い切れない想いが、言葉の端に滲んでいた。
空ろな視線が宙を漂い、心ここにあらずといった様相の王妃に対し、
アトスが力強く呼び掛ける。

「ご心配には及びません。我等三銃士、必ずや王妃の元へと無事首飾りをお届け致します!」

部屋に響き渡る声に込められた想い。
自分達に使命を言い聞かせるような強い口調は、王妃の心に僅かな安心感を与えた。

「今の私にとって、そなた達だけが頼りです。頼みましたよ、三銃士!」

「承知致しました」

深く一礼して王妃の部屋を出ようとするアトスとポルトス。
しかし長身の銃士一人は、その場に立ち尽くしたまま動こうとする素振りすら見せなかった。

「おい、アラミス!もう行くぞ!」

小声で囁くアトスに対して、アラミスは強く頭を振った。
明確な意思が、そこに存在していた。

「すまないが、王妃に一言お伝えしたい事があるのだ。申し訳ないが、先に戻っていて
くれないか?」

普段のアラミスからは想像出来ない様な険しい表情が浮かぶ。
その表情を垣間見たポルトスは、一瞬だけ考え込む仕草をすると、
すぐにあっけらかんとした口振りでアラミスを諭した。

「アラミス。あんまり王妃を困らせるような事は言っちゃ駄目だぞ」

それとなく牽制するポルトスに対し、アラミスはあっさりと言い放つ。
心の奥で、密かにポルトスの真意を汲み取り、感謝の気持ちを込めて。

「・・・・・・分かっている」

帰り際、小さく頷きながらアイコンタクトを交わす二人を見て、
アトスも訳ありな表情のまま、ポルトスに零す。

「・・・・・・いいのか?」

アトスからの視線を受けて、ポルトスは幾分吹っ切れた表情で軽く言い放つのだった。

「後はアラミスに任せて、俺達はも一回作戦の練り直し、練り直し~!」

背中をドンドンと勢いよく叩き込まれたアトスは、背後をちらりと振り返りながら
アラミスの背中を見送る。
凛として立つアラミスの背中には、いつにも増して気高い想いが渦巻いているような気がした。

 

「・・・・・・お話を、伺いましょう」

警戒しているような低い声が、アラミスの耳に届く。
王妃に対して快く思っていない自分の気持ちをそっくりそのまま反映するかのように、
王妃もまた自分を警戒していると思わせる無機質な口調。
言葉が交差する瞬間に、鋭い火花が飛び散るような感覚を二人は感じていた。

「畏れながら、王妃に一言申し上げます」

王妃の右眉がすーっと上がり、若干見下すような視線が自分を見ているのだと、
王妃から醸し出される気配をアラミスは敏感に感じ取っていた。
軽く息を吸い込み、呼吸を整えながら、アラミスは王妃の眸を見据えた。

アイスブルーの眸に険しい色が滲む。
その迫力に押され、思わず息を飲み込む王妃に対し、アラミスは口火を切った。

「王妃を心から心配している者の気持ちを乱すような事は、金輪際止めていただきたいのです」

口調はこの上なく丁寧だが、静かな怒りが込められているような声音に
胸を鋭利な刃物で抉られるような感覚が、王妃を襲った。
激昂しない分だけ、抑えられた怒りの凄まじさに一瞬たじろぐ。

「・・・・・・どういう事です?」

辛うじて喉から漏れ出した声が掠れる。
堪えきれずドレスの裾を掴む指先もまた、小刻みに震えていた。
フランス国王の后であるという気高き誇りのみが、今の彼女を支えているだけだった。

「私が申し上げたいのは、それだけです。・・・・・・聡明な王妃なら、きっとお分かりになられる筈。
・・・・・・失礼致します」

有無を言わさぬアラミスの迫力は、逃げようのない現実を真正面から王妃に突き付ける形になった。
周囲に流されるまま、結果的に自身が招いてしまった事の顛末は、今、最大の危機を迎えていた。
あの時何度も、コンスタンスが必死に押し留めようとしていた事を無視し、
この状況を生み出してしまった自身の大きな過ちに、今更ながら気付いて。


一礼し、足早に去っていくアラミスの背中に、コンスタンスの面影が重なった時・・・・・・
王妃は初めて悟ったのだった。


・・・・・・私は、何ということを・・・・・!


泣き崩れる王妃の声は、時の狭間へと沈みこんでいくだけだった。


 

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