クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
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符合 第34話 コンスタンス&王妃
以前UPした、『面影』に続く後日談です。
よろしかったらどうぞ。
★Web Clapありがとうございます!★
ちょうどクローバーのテンプレートが見つかりましたので
変えてみました。(ちょくちょく変更してすみません)
前よりも幾分見やすくなっていればいいのですが。
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前よりも幾分見やすくなっていればいいのですが。
「コンスタンス、貴女が来てくれて心強いわ。このままでは・・・・・・」
いつもの凛とした王妃の振る舞いがすっかり影を潜め、弱弱しい心情が吐露されるのを聞くに及んで、コンスタンスは力強い言葉で諭す。
それはコンスタンスにとっても、自分の気持ちを同時に励ます意味合いの言葉であった。
「王妃、気をしっかりお持ちください。国王陛下が戦地に向かわれている今、この宮殿をお守りする役目を果たさねばならぬのは、他ならぬ王妃ではありませんか!王妃のお心が揺らいだままでは、宮殿にお仕えする者達の士気にも影響が出ます」
単刀直入にずばりと核心を突くような強い言葉には、コンスタンスの想いが溢れ出ていた。
戦況が芳しくない現状、どことなく遠慮した態度で接する者が多い宮殿において、コンスタンスの言葉は、今の自分にとってそうであらなければならぬという強い指針を指し示すものだった。
「そうでしたね。わたくしがぐらついたままでは、政府軍の勝利を祈って働いている者達の心を惑わすばかりですもの。貴女の言う通りだわ、コンスタンス」
さっきまでの憂いを秘めた表情が、王妃の胸の奥で沸き起こりつつある気高き想いに誘発されて、次第に聡明さを取り戻していくさまを、コンスタンスは王妃の傍らで見守る。
心の奥に蔓延っている不安は全て払拭されている訳ではないが、少なくとも以前より強い意志で現実と向き合い始めた王妃の横顔に、気高き美しさが宿り始めたのを見て、コンスタンスは続ける。
「・・・・・・きっと、国王陛下は無事に帰還されます。三銃士がずっと陛下の御傍に付いている限り!」
王妃の手に自分の手をそっと重ねつつ、力強く励ますコンスタンスの眸と、かつて同じような想いを宿した眸に遭遇した記憶が、王妃の胸にふいに蘇る。
『王妃を心から心配している者の気持ちを乱すような事は、金輪際止めていただきたいのです』
冷たい炎を思わせるアイスブルーの眸は、今のコンスタンスと同じように、こちらからの叱責を覚悟の上で敢えて進言した背景が重なる。
微妙に符合しているような二人の想いに触れ、王妃はふと言葉を漏らす。
「似ているわね、貴女とアラミスは」
「えっ!?」
まさか王妃から突然アラミスの名を出されるとは予想だにせず、明らかに狼狽の色がコンスタンスの顔面を覆う。
心中穏やかではいられない自分に気付いて、コンスタンスは堪らず俯いた。
僅かな火照りが彼女の気持ちそのままを代弁していた。
「実はね、貴女とダルタニアンが首飾りを取り戻しにロンドンに行っている間、三銃士が状況報告の為に宮殿を訪ねてきたのです。そこでアラミスが私に向け言ったのです。『王妃を心配している者の気持ちを乱すような事は今後一切やめて欲しい』と」
「!・・・・・アラミス様が、そんな事を・・・・・・」
夢のような台詞だった。
王妃の口から漏れた言葉の奥に隠れて、今は遠く離れているアラミスの気持ちが、この瞬間も絶えず自分の心を優しく包み込んでくれているようで。
「アラミスは私の事を嫌っているのだろうと、以前から薄々知っていました。しかし、嫌っている私の所にわざわざ出向いてまで、言わずにおれなかったのは・・・・・・余程のことだったのでしょう。さっき励ましてくれた貴女と、あの時のアラミスが私にはだぶって見えました」
王妃の最後の言葉を聞かずして、コンスタンスは俯いたまま涙が零れ出るのを止められずにいた。
よもや王妃の口からそんな言葉が聞かれるとは思いもよらず、アラミスのさり気ない優しさと自分を思い遣ってくれる心の深さに、今はただ、胸が締め付けられるだけで。
「陛下たちの一刻も早い無事の帰還を、一緒に祈り続けましょう。ね、コンスタンス?」
「・・・・・はい!」
顔を上げるコンスタンスの両眸に広がる透明な雫。
その雫に込められた穢れなき愛の行く手に、暗雲が立ち込めているのをコンスタンスはまだ知らずにいた。
いつもの凛とした王妃の振る舞いがすっかり影を潜め、弱弱しい心情が吐露されるのを聞くに及んで、コンスタンスは力強い言葉で諭す。
それはコンスタンスにとっても、自分の気持ちを同時に励ます意味合いの言葉であった。
「王妃、気をしっかりお持ちください。国王陛下が戦地に向かわれている今、この宮殿をお守りする役目を果たさねばならぬのは、他ならぬ王妃ではありませんか!王妃のお心が揺らいだままでは、宮殿にお仕えする者達の士気にも影響が出ます」
単刀直入にずばりと核心を突くような強い言葉には、コンスタンスの想いが溢れ出ていた。
戦況が芳しくない現状、どことなく遠慮した態度で接する者が多い宮殿において、コンスタンスの言葉は、今の自分にとってそうであらなければならぬという強い指針を指し示すものだった。
「そうでしたね。わたくしがぐらついたままでは、政府軍の勝利を祈って働いている者達の心を惑わすばかりですもの。貴女の言う通りだわ、コンスタンス」
さっきまでの憂いを秘めた表情が、王妃の胸の奥で沸き起こりつつある気高き想いに誘発されて、次第に聡明さを取り戻していくさまを、コンスタンスは王妃の傍らで見守る。
心の奥に蔓延っている不安は全て払拭されている訳ではないが、少なくとも以前より強い意志で現実と向き合い始めた王妃の横顔に、気高き美しさが宿り始めたのを見て、コンスタンスは続ける。
「・・・・・・きっと、国王陛下は無事に帰還されます。三銃士がずっと陛下の御傍に付いている限り!」
王妃の手に自分の手をそっと重ねつつ、力強く励ますコンスタンスの眸と、かつて同じような想いを宿した眸に遭遇した記憶が、王妃の胸にふいに蘇る。
『王妃を心から心配している者の気持ちを乱すような事は、金輪際止めていただきたいのです』
冷たい炎を思わせるアイスブルーの眸は、今のコンスタンスと同じように、こちらからの叱責を覚悟の上で敢えて進言した背景が重なる。
微妙に符合しているような二人の想いに触れ、王妃はふと言葉を漏らす。
「似ているわね、貴女とアラミスは」
「えっ!?」
まさか王妃から突然アラミスの名を出されるとは予想だにせず、明らかに狼狽の色がコンスタンスの顔面を覆う。
心中穏やかではいられない自分に気付いて、コンスタンスは堪らず俯いた。
僅かな火照りが彼女の気持ちそのままを代弁していた。
「実はね、貴女とダルタニアンが首飾りを取り戻しにロンドンに行っている間、三銃士が状況報告の為に宮殿を訪ねてきたのです。そこでアラミスが私に向け言ったのです。『王妃を心配している者の気持ちを乱すような事は今後一切やめて欲しい』と」
「!・・・・・アラミス様が、そんな事を・・・・・・」
夢のような台詞だった。
王妃の口から漏れた言葉の奥に隠れて、今は遠く離れているアラミスの気持ちが、この瞬間も絶えず自分の心を優しく包み込んでくれているようで。
「アラミスは私の事を嫌っているのだろうと、以前から薄々知っていました。しかし、嫌っている私の所にわざわざ出向いてまで、言わずにおれなかったのは・・・・・・余程のことだったのでしょう。さっき励ましてくれた貴女と、あの時のアラミスが私にはだぶって見えました」
王妃の最後の言葉を聞かずして、コンスタンスは俯いたまま涙が零れ出るのを止められずにいた。
よもや王妃の口からそんな言葉が聞かれるとは思いもよらず、アラミスのさり気ない優しさと自分を思い遣ってくれる心の深さに、今はただ、胸が締め付けられるだけで。
「陛下たちの一刻も早い無事の帰還を、一緒に祈り続けましょう。ね、コンスタンス?」
「・・・・・はい!」
顔を上げるコンスタンスの両眸に広がる透明な雫。
その雫に込められた穢れなき愛の行く手に、暗雲が立ち込めているのをコンスタンスはまだ知らずにいた。
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