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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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最終話以降 ポルトス&アラミス

7月1日加筆修正しました

心配性のポルトスさんのお話です。
よろしかったら つづきはこちら からどうぞ。

メモリアルブックは明日以降のお預けになりそうです(泣)
早く、読みたいな~!

以下、拍手のお返事です。
いつもWeb Clapクリック、ありがとうございます!

>渡神さま
こんばんは!
先日はありがとうございました。
あっという間に時間が過ぎていきましたね!

>ドキドキするアラミス先生
もう、これはデフォルト設定にしてもいい位(笑)ですよね!
コンスタンスの無防備な色気には、
さすがのアラミス先生もタジタジかもしれません(笑)
でも、そこが一番オイシイところなので、
色々想像してしまいますね。
またよろしかったら、チャットでお話お願いします。
ありがとうございました!

「結婚・・・・・・したのか?」

穏やかな午後の昼下がり。
幾分日が傾きかけ、窓から射し込む陽射しの角度も緩やかになった頃。
窓辺にもたれながら、道行く人々をボーっと眺めていたポルトスの表情が一瞬険しくなる。


まったく、こいつは・・・・・・どうしていつもこうなんだ!?


主語抜きで問い掛けるアラミスを僅かに睨むが、そもそもそういう質問を唐突に切り出す時点で、アラミスの空気読めなさ加減はいつもの如くだと思い知る。
反対にコクナールがいない時を見計らって、アラミスが質問をぶつけてきた事を誉めるべきか。


どんだけなんだよ?ったく!


心の中で毒を吐きながらも、一切そんな様子を見せ付けずに即座に切り返すあたり、ポルトスはやはり一枚上手。
表面上はにこやかな笑顔を取り繕って話すポルトスの声のトーンが一段階上がる。


「結婚ねぇ。してるかもしれないし、しないかもしれないし。どっちでもいいんだけどね、俺としちゃ」


意地悪く突き放そうと試みるが、天然アラミス先生にそんな心の機微は通じる筈もなく。
そんなポルトスの思惑を一切無視し、理路整然と語り掛けるアラミスの顔は真剣そのもの。
一所懸命になる場所をどこか履き違えているような策士の、恋愛面に関するボケっぷりは最早天然記念物級。


「はっきりさせといた方が、この先何か事があった場合には、いいと思うのだが?」


真面目な顔で呟くアラミスを一瞥して、ポルトスはそれはそれは大きな溜息を一つついた。
溜息の中に混じり込んだ、「こいつの天然ボケにはついていけねぇ!」という嘆きが部屋の隅々まで染み込んでいく。
お節介と心配のギリギリのラインを綱渡りしているような、アラミスの配慮はいつもの事。
悪気がない分だけダイレクトに伝わってくる彼の気持ちを推し量って、ポルトスは額に手を当てながらしみじみ思うのだった。


悪気があって言っているんじゃないのは分かってる。
しかし、もうちょっと学習しようや、アラミス先生!
お前、俺との会話でこれで済んでいるから、まだいいようなものの・・・・・・
下手したら平手打ちお見舞いされても、おかしくないぞ?


言いたいことを浮腫んだ腹の中に押し止め、ポルトスは言を継ぐ。
引き攣った表情を出さずに言い切る辺り、さすがである。


「ご提案、まことにありがとう。しかし、これは俺とコクナールちゃんの問題だから、出来ればこのままそっとしておいてもらった方が非常に有難い訳で。ま、お前さんとアトスには散々迷惑掛けたから、何れ何らかの形で決着は付けようと思っちゃいるがね」


まさに模範解答ここに極まれり!と自画自賛したくなるような見事な受け答えを展開し、一人悦に入るポルトスだったが、何故かこういう時に限ってアラミス先生の情け容赦ない爆弾が炸裂する。
それは天然ゆえに許される、こちら側の理解の範疇外から齎される意見である事を今更ながら思い知るポルトスだった。


「それで、奥さんは納得してくれるのか?その理屈は、君にとっては良くても奥さんの立場からしたら、どう思うだろうか?」


・・・・・・お前さんの事、どうやら俺は見縊っていたらしい。
ってか、何でこういうときだけ異常に冴え渡るんだよっっ!!!
こういう時はさ、空気読んでスルーしろよ;;;マジで。
お前、本当は天然のフリして、俺の事虐めて楽しんでんじゃねえの?


涙目になりそうになるのを懸命に堪えて、ポルトスは話す。
痛い所を衝かれた時に漏れ出す言葉は、意外に真実が混じっているのだと
喋りながらポルトスは思うのだった。


「俺さ、実はコクナールちゃんに聞いたんだよ。今後俺とこのままどうしたいのかってさ。そしたらさ、おばちゃん少し考えた後で、こう俺に言ったのさ。『あの時の辛い気持ちを考えたら、元気なアンタの傍にいるだけで私は幸せよ』って、真顔で言うんだよ。俺、それ聞いちまったら・・・・・何にも言えなくなっちまってよ。こうして傍に一緒にいられることしか俺には出来ないが、それが実は一番幸せなのかもって思えてきた」


自分には珍しい、しんみりとした語り口で話しながら、ポルトスはアラミスの表情を密かに窺っていた。
一瞬だけ、ハッとした表情を浮かべたアラミスの顔を彼が見逃すわけはない。
数々の修羅場を潜り抜けてきたからこそ分かる、微妙な表情の変化には人一倍敏感で。
時として言葉よりも多く気持ちを物語る表情の変化を間近で見て、ポルトスは確信する。


・・・・・・こりゃ、未練残してるな。確実に。


こういう状況に限って、自分の勘が妙に当たるのを否定できない。
むしろこんな状況だからこそ、逆に勘が鈍っていて欲しいと思わずにいられない。


恋愛面に聡いってのも、考えもんだよなぁ。全く。
今まで散々好き勝手やってきたから、とうとう俺もヤキがまわったのかもな。
自分の蒔いた種だったらいくらでも刈り取る覚悟は出来てんだけど・・・・・・
どうするよ、この展開;;;


まだまだ先が見えないアラミスの恋心に気付いてしまった以上、見て見ぬフリは出来そうもないポルトスは、今日二度目の深い深~い溜息をつくのだった。


俺って、結局他人の心配だけで一生が終わりそうな予感。
・・・・・・でも、ま、これが俺の運命なのかもね。


チラっとアラミスの方を見遣ると、押し黙ったまま深く考え込んでいるような気配が、うっすらと漂う。


後悔するなら、さっさと行動にうつしゃいいものを、肝心なところで尻込みする癖は、一生直らんかもしれんな~。


お前、一生それでもいいのかよ?
コンスタンス以上の女は、下手したら二度とお目にかかれないかもしれないんだぞ?


俺さぁ、本気出したお前をこの目で確かめたいんだよ!

頼むからさぁ、お前の本気の底力の迫力を、とことん見せ付けてくれよ!


お前の悩む姿は、もうこれ以上見たかねぇんだよ、アラミス!

ポルトスの胸の内を知ってか知らずか、黙り込むアラミスの顔面に落日の最後の輝きが、静かに影を落とすのだった。

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