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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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最終回後 ポルトス&コンスタンスとリンクのお知らせ

最終回後にこういうやり取りがあったらいいなぁ~との希望をこめて。

★Web Clapいつもありがとうございます!★


追記

1.先日お話に素敵なイラストを描いていただいた、渡神さまのブログ
  「姫金魚草」のリンクを貼らせてさせていただきました。
  柔らかな色合いの素敵なイラストと心に染み透るお話がUPされて
  います!

2.アンソロの見本誌が届きました!
  手に取ったときの重み以上に、内容の濃さに思わず圧倒されます!
  皆さんの愛がたっぷり詰まった一冊、是非お手元に!



「お?今、誰もいないの?」

勢いよく開け放ったドアの向こうから聞こえる快活な声。
陽気を携えてやってくる男の顔はいつも朗らか。
その満面の笑みの魅力は一言では言い難いほど柔らかくて。

「お帰りなさい、ポルトスさん。今、丁度皆さん出払っているところなんです。あ、そうそう!コクナールさんからポルトスさんがお帰りになられたら言って欲しいって伝言を預かっているんです」

花瓶を覆い尽くす黄色の鮮やかさが眩しい。
パッと華やいだ雰囲気が殺風景だった下宿の部屋の色を塗り替えていく。

「コクナールのおばちゃん、何て?」

「今日のお夕飯はポルトスさんの大好きなシチューにするから、お腹空かして待っていてちょうだい・・・だそうですよ!」

微笑を浮かべつつ、コクナールの口振りを真似するように話すコンスタンス。
その立ち居振る舞いを見ながらも、何故か心に引っ掛かりを覚えるポルトスだった。

「そりゃ、目一杯腹を空かしておかなきゃなぁ~!コクナールのおばちゃんのシチューは絶品だから!」

本人曰く、浮腫んだお腹をポンポンと叩きながらおどけて話すポルトスに
コンスタンスも心を許した感じで言葉を継ぐ。

「今度私もご馳走になってもよろしいですか?」

「当然だよ~!色々と世話になってるからね、コンスちゃんには!」

「ありがとうございます!楽しみにしています」

軽く一礼してその場を去ろうとするコンスタンスの背中目掛けて、ポルトスは喉の奥で言いよどんでいた言葉を引き摺り出した。
心の中でコンスタンスに詫びを入れながら。

「俺さぁ、あまり可愛い女の子を虐める趣味はないんだけどさ・・・」

ポツリと零すポルトスの口振りが、かなり自虐めいた感じの彼らしからぬ様子に気付いてコンスタンスの気持ちが俄かに騒ぎ出す。

「?・・・どうかしましたか?ポルトスさん」

こちらに向き直ったコンスタンスを見て、ポルトスはわざとコンスタンスの視線を捉えた。
それは彼女の本音を引き出そうとする大人の狡さだと分かっているが故に、胸の奥でチクチクと良心が痛む。
しかし、このチャンスを逃したら一生後悔するかもしれないという思いが俄かに湧き上がってきてポルトスは腹を決めた。
コンスタンスからの批難を承知の上で。

「あいつはさ、戦地に向かう前に俺にはっきりと言ったんだよ。ダルタニアンに対して嘘は吐きたくないって」

ポルトスが紡ぎだす言葉を黙って訊いていたコンスタンスの眸が一瞬だけ揺らいだ。
しかし彼女はすぐさま心に沸き起こったであろう動揺を抑えこんで、無機質な眸を返す。
その一連の仕草は、ポルトスにある人物との符合を思い起こさせた。


・・・どうして、こんなとこまで似てるかな・・・


溜息を出さずにおれない状況を敢えて無視して、ポルトスは賭けに出る。
身体に漂う僅かな緊張感を道連れにして。


「嘘を吐くことでコンスちゃんを傷つけるかもしれないって、アイツなりに考えたんだろうさ。そういう所、ホント、アイツの馬鹿正直な所だと思うよ。糞真面目で、馬鹿正直で、おまけに自分のことは置き去りで他人の心配ばっかしてるし・・・だけど」

ポルトスがその先の言葉を生み出すことはなかった。

「だけど・・・繊細で、聡明でそして誰よりもお優しい方・・・ですよね?」

言を継いだコンスタンスの眸が哀しみの色に暮れる。
眸の奥で隠し難い想いが泣いているのに、ポルトスは気がついていた。
ここまで言える様になるまで、どれだけ時間が掛かったのか。
そしてどれだけ影で泣き続けていたのか。
・・・そして間違いなくはっきりと確信したのは、まだコンスタンスは・・・

ジリッとした痛みが胸に蔓延ったまま、離れない。
苦しみの螺旋を登り詰めるしか手立てがない、二人の恋心が無性に切なくて。


神様よぉ~、俺アンタに恨みつらみなんか、これぽっちもないけどさぁ・・・
やっぱりこいつは堪らんよ;;;
もし慈悲って心があるんなら、どうにかしてくれよ、この状況;;;


いっそとことんまで開き直れたら楽だろうに、
敢えて孤高を貫き通す背中が段々と遠くなっていくように思えてならない。


それでもアイツが茨の道を選んでいくというのなら、俺は・・・


「アイツの心を全部分かってくれるの、コンスちゃんだけなんだよ。
この世でたったひとり、コンスちゃんだけ・・・俺らはずっとそう思っているから」


痛みを伴って紡ぎだした言葉に、思わず涙を浮かべながら頷くコンスタンスの肩が小刻みに揺れる。
堪え難い思いに衝き動かされて、嗚咽を零し続けるコンスタンスにポルトスは彼女の華奢な肩を軽くポンポンと叩きながら呟くのだった。


「夕飯はコクナールおばちゃんお手製のシチューを皆で囲もう!心まであったかくなるからさ、きっと!」

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