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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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最終回後 ポルトス&アラミス 終わらない夜

最終回後のポルちゃんと先生の超短編です。

基本、ポルちゃんは泣かない人だと想います。
本当によっぽどのことがないかぎり、泣かない人だと。
先生は、あの34話の慟哭以来、泣けなくなってしまったのかな?とふと
想いました。

哀しければ哀しいほど、泣くよりもむしろ静かに穏やかに笑っているだけのような。
それは泣くよりも、すごく物凄く哀しいことだと想います。

よろしかったらどうぞ

★Web Clapいつもありがとうございます★

「・・・諦めちまったのか?」

手元に転がる林檎のヘタを手で弄繰り回しながら、肩肘をついて心此処にあらずといった気配でぼそりと呟くポルトスの顔に、落日の最後の輝きが落ちる。
その言葉を受けて一瞬ビクッと身体を震わせたアラミスは、何もないような素振りを装って、指の間に挟みこんでいたページを捲った。
捲り終える瞬間に本に射した影に、己の心の影を溶かし込みつつ。

「・・・そうくるか」

ポツリと零した言葉にちらつく迷い。
アラミスもまた、ポルトスの態度に呼応するかのように、さらりとその場を受け流すつもりだった。
・・・が、敵はそんなに甘くなく。
己の読みの甘さを誤ったアラミスは、まだ迷いの森に心を置き去りにしたままで。

「ふぅ~ん。俺が何を諦めるかを特定して言ってないのに、自覚があるあたり・・・案外お前の天然も結構改善されてきてるのかもなぁ~」

弄っていた林檎を掴み上げ、軽くポンと空中に投げながら、綺麗な弧を描いて落ちてきた林檎を素早くキャッチしつつ、ガリッと齧り付くポルトス。
シャキッと噛み砕く音が、部屋の中に小さな波紋を齎した。

核心を衝かれて一瞬怯んだアラミスは、やがて小さな溜息を一つ零すと苦笑いを浮かべる。

「・・・もう済んだことだ・・・」

言いながら顔が僅かに歪んだのに気付く。
冷静を装っているつもりでも、まだ相当引き摺っている自分を隠すようにわざと突き放す。
そうする事でしか、少しでも心の痛みを誤魔化すしかない自分を嫌と言うほど分かっているから。
些細な自己防衛と引き換えに、己の心に引き込んでいく諦観の念が次第に胸の中に広がっていくのが分かる。

「・・・無理すんなよ。お前が顔で笑ってても、心ではまだ血の涙を流し続けてるのを分からない俺じゃない」

・・・沈黙が流れる。
二人の間を流れる時間に、深く静かな想いが漂う。

互いの心根を知っているが故に直接的な言葉を控えて、敢えて距離を取っていた隙間が一瞬にして埋まる。
まかり間違えば一触即発ともなりかねない微妙な言葉を駆使しつつ、それでもなお言わずにおれなかったポルトスの気持ちが、アラミスの心を揺るがす。
それは深い絆で繋がれた者同士にしか分かり合えない、特別な想い。

「・・・ポルトス、一つだけ教えて欲しい。・・・私の顔は今もなお悲しみに満ちているのだろうか?」

ゆっくりと首を回らしてアラミスの顔を見つめたポルトスは、小さく首を振りながら無言で答える。
ポルトスの頬を滑ってポタリと零れ落ちる一筋の涙。
その中に彼が掬い取った、泣きたくても泣けないアラミスの深い悲しみを全て詰め込んで。


やがて夜の始まりと共に姿を現した月が、微動だにしない二人の姿を照らし出す。
床に落ちた影の濃さが移り変わっていくたび、そしてまた終わらない夜が幕を開ける。

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