クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
[10] [9] [8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [1]
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
29話より
凛とした響きが、静まり返った聖堂内の壁に染み込んで行く。
その声に内包されている切ない叫びが、私の心を激しくそして狂おしく揺さぶり続ける。
幾度となく胸の内に押し留めようとした想いは、
私の体の奥底に幾重にも張り巡らした、抑制という名の鎖を一気に引き千切り
唯一抵抗していた理性の欠片までも、粉々に砕け散らせていく。
自分の本当の心に、最早抗える術など残っていない筈なのに・・・・・・
最後の最後まで抵抗をし続けた良心の呵責が、私の心に今一度問い掛ける。
・・・・・・それで、いいのですね・・・・・・?
それでもなお、断ち切ろうとする想いに堪え切れず
思わず眸を閉じた瞬間、瞼の内側に微かな残影として残っていたのは、
愛読書に丁寧に差し込まれていた四葉のクローバーと、
憂いを秘めた眼差しで私を見つめるコンスタンスの姿。
その二つが私の意識の中で重なり合った瞬間、
無意識のうちに口から零れ出た吐息が、時間を止めた。
最後まで燻り続けていた心の枷が、吐息となって聖堂内に漏れ落ち・・・・・・
私とコンスタンスを静かに、そして密やかに濡らす。
神よ、赦し給え・・・・・・
襲いくる闇の誘いを背中で受け止めたまま、
無我夢中で掻き抱いた彼女の身体から伝わる温もりだけが、
現実と未来の狭間で揺れ動く私の心に、しばしの安らぎを与えるのだった。
この記事にコメントする
← 第10話より ~兆し~ HOME あっと言う間に →