クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
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20話直後 宴の後で アラミス&コンスタンス
あの豪華絢爛の舞踏会が終わった後で、ふと現実に戻ったとき先生の心を過ぎった想いとは?
そしてそれを受け止めるコンスの願いとは?
そんな事を考えながら、超短編を綴ってみました。
よろしかったらどうぞ!
そしてそれを受け止めるコンスの願いとは?
そんな事を考えながら、超短編を綴ってみました。
よろしかったらどうぞ!
皆と一緒に並んで歩く舞踏会帰りの道すがら、揃った足並みから遅れがちになる人影が一つ。
月光に照らし出されて濃い影が落ちる道端にふと佇んで、何かに想いを馳せるような神妙な横顔に憂いが滲む。
「・・・どうかなさいました?」
遠慮がちに問い掛ける声が闇に沈む。
心配する気配を押し殺して努めて明るく振舞うようにするけれど、あの方の頑なな佇まいの前で、その振舞いは却って逆効果に思えた。
ダルタニアンの功績で何とか事なきを得た首飾り事件の顛末は、一応の収束を迎えた。
それもダルタニアンが平銃士として取り立てられるという、トレヴィル隊長の粋な計らいと共に。
歓喜の祝杯を上げるアトスさんやポルトスさんに混じって、あの方も宮殿では随分と嬉しそうな表情を浮かべていらっしゃったのだが、今こうして遅れがちになる歩調の中に懸念とも取れる雰囲気が感じ取られた。
「・・・心配御無用。少し酔いが廻っただけですから・・・」
言いながら目元を緩ませる、あの方の眸は決して笑ってはいなかった。
見過ごしてしまえばそのまま何事もなく埋もれてしまう筈の切っ掛けを、その瞬間だけ見逃すわけにはいかないと思い立った私の気持ちが月夜に霧散した。
「・・・賢明なアラミスさんの事ですから、きっと今回の件についてまだ蟠りを感じていらっしゃるのではないでしょうか?結果的に丸く収まったとはいえ・・・根本的な解決には至ってないのですから」
淡々と話す言葉の影で、僅かに歪んだ表情を止められない私。
あの方は私の言葉を受けて一瞬驚いたような表情を浮かべたが、次の瞬間その表情は即座に打ち消され穏やかな笑みが口元で綻んだ。
その静かな微笑の影で、言葉にし難い想いが揺れているのに気付く。
清廉なあの方の心を代弁するかのように、闇夜を切り裂いて月の光が淡く光る。
弱々しく儚い光の中で、たった一つ強く煌く真実の強さが目に焼き付く。
「何とか無事にその場を切り抜けたとはいえ・・・結果的に国王陛下を裏切るような形で事態が収束したことに、私はやはり納得がいかないのです。貴女がお察しの通り」
立ち尽くすあの方に寄り添うようにして、一際眩しい月の光が凛とした輝きを携えて降り注ぐ。
深く澄んだ眸の奥で、どこか人を寄せ付けない厳しさを秘めた意思が滲む。
しかしその一方で、矛盾を抱えなければならなかった自らの心に迷いが生じていたのも察せられて私の心もあの方の心にいつしか共鳴し始める。
「お気持ちよく分かります。・・・けれど国王陛下を傷つけずにお守りするには、現時点ではあれ以外の方法がなかったと。・・・今はまだ混乱していて気持ちが乱れるのは仕方ないかもしれませんが、あの舞踏会での陛下の屈託のない笑顔を拝見していたら・・・私達が為すべき事はたったひとつ。陛下の御心がいつもいつでも平穏でいらっしゃれるように、影に日向に身を捧げ続けること、ただそれだけではないでしょうか」
揺らぐ月の光に溶け合うように、胸の奥から放たれた微かな波動が空気を震わす。
見上げた私の視線を捉える蒼い眸に柔らかな月光が差した瞬間、いつになく穏やかな声が暗闇に仄かな月光の華を咲かせ始める。
幽玄の光に包まれた月光の華が綻び始めた時から、静かで温かな想いが暗闇に確かな彩りを添え始める。
「・・・やはり貴女は・・・私が思い描いていた通り、強くそして聡明な女性(ひと)ですね」
闇に零れた声がその瞬間だけ淡い光を放ち、やがて時の谷間に沈んでいく。
緩やかな時間の波に包み込まれて、しばし立ち尽くす私と貴方の距離がほんの少しだけ縮んでいくのを見届けながら、夜は静かに更け行く。
月光に照らし出されて濃い影が落ちる道端にふと佇んで、何かに想いを馳せるような神妙な横顔に憂いが滲む。
「・・・どうかなさいました?」
遠慮がちに問い掛ける声が闇に沈む。
心配する気配を押し殺して努めて明るく振舞うようにするけれど、あの方の頑なな佇まいの前で、その振舞いは却って逆効果に思えた。
ダルタニアンの功績で何とか事なきを得た首飾り事件の顛末は、一応の収束を迎えた。
それもダルタニアンが平銃士として取り立てられるという、トレヴィル隊長の粋な計らいと共に。
歓喜の祝杯を上げるアトスさんやポルトスさんに混じって、あの方も宮殿では随分と嬉しそうな表情を浮かべていらっしゃったのだが、今こうして遅れがちになる歩調の中に懸念とも取れる雰囲気が感じ取られた。
「・・・心配御無用。少し酔いが廻っただけですから・・・」
言いながら目元を緩ませる、あの方の眸は決して笑ってはいなかった。
見過ごしてしまえばそのまま何事もなく埋もれてしまう筈の切っ掛けを、その瞬間だけ見逃すわけにはいかないと思い立った私の気持ちが月夜に霧散した。
「・・・賢明なアラミスさんの事ですから、きっと今回の件についてまだ蟠りを感じていらっしゃるのではないでしょうか?結果的に丸く収まったとはいえ・・・根本的な解決には至ってないのですから」
淡々と話す言葉の影で、僅かに歪んだ表情を止められない私。
あの方は私の言葉を受けて一瞬驚いたような表情を浮かべたが、次の瞬間その表情は即座に打ち消され穏やかな笑みが口元で綻んだ。
その静かな微笑の影で、言葉にし難い想いが揺れているのに気付く。
清廉なあの方の心を代弁するかのように、闇夜を切り裂いて月の光が淡く光る。
弱々しく儚い光の中で、たった一つ強く煌く真実の強さが目に焼き付く。
「何とか無事にその場を切り抜けたとはいえ・・・結果的に国王陛下を裏切るような形で事態が収束したことに、私はやはり納得がいかないのです。貴女がお察しの通り」
立ち尽くすあの方に寄り添うようにして、一際眩しい月の光が凛とした輝きを携えて降り注ぐ。
深く澄んだ眸の奥で、どこか人を寄せ付けない厳しさを秘めた意思が滲む。
しかしその一方で、矛盾を抱えなければならなかった自らの心に迷いが生じていたのも察せられて私の心もあの方の心にいつしか共鳴し始める。
「お気持ちよく分かります。・・・けれど国王陛下を傷つけずにお守りするには、現時点ではあれ以外の方法がなかったと。・・・今はまだ混乱していて気持ちが乱れるのは仕方ないかもしれませんが、あの舞踏会での陛下の屈託のない笑顔を拝見していたら・・・私達が為すべき事はたったひとつ。陛下の御心がいつもいつでも平穏でいらっしゃれるように、影に日向に身を捧げ続けること、ただそれだけではないでしょうか」
揺らぐ月の光に溶け合うように、胸の奥から放たれた微かな波動が空気を震わす。
見上げた私の視線を捉える蒼い眸に柔らかな月光が差した瞬間、いつになく穏やかな声が暗闇に仄かな月光の華を咲かせ始める。
幽玄の光に包まれた月光の華が綻び始めた時から、静かで温かな想いが暗闇に確かな彩りを添え始める。
「・・・やはり貴女は・・・私が思い描いていた通り、強くそして聡明な女性(ひと)ですね」
闇に零れた声がその瞬間だけ淡い光を放ち、やがて時の谷間に沈んでいく。
緩やかな時間の波に包み込まれて、しばし立ち尽くす私と貴方の距離がほんの少しだけ縮んでいくのを見届けながら、夜は静かに更け行く。
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