クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
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第22話~24話頃 触れ合う魂
本日2回目の更新です。
最近、チャットでお話するようになってから
創作意欲が止まりません。
毎回創作意欲を掻き立ててくれるお話をして下さっている
お二方、本当にありがとうございます!
よろしかったらどうぞ
★Web Clapありがとうございます!★
最近、チャットでお話するようになってから
創作意欲が止まりません。
毎回創作意欲を掻き立ててくれるお話をして下さっている
お二方、本当にありがとうございます!
よろしかったらどうぞ
★Web Clapありがとうございます!★
「さて、今日の講義はここまでにしましょう」
滑らかな動きで席を立とうとする長身の銃士を、コンスタンスは慌てて押し留める。
咄嗟の思いで放った言葉は、微かな焦りを伴って部屋に染みこむ。
「待ってください、アラミスさん。もしお時間の都合がよろしければ、
一緒にお茶でもいかがですか?美味しいお菓子をいただいているので」
歩き出そうとした男に背後からそっと追い縋る眸は、何かを訴え掛けているような直向さが滲んでいた。
一心に見つめられると、逸らすことが出来なくなりそうな眩い煌きを宿した眸は、しなやかな情熱が秘められている気がした。
魅惑的なと言ったら語弊があるのかもしれないが、少女のような佇まいの中に、香しい女性の色香をひっそりと滲ませたような雰囲気に、いつしか惹かれていきそうになる自分に気が付いて。
普段なら数多の御婦人からのお誘いをやんわりと断る常套句を駆使して、
さっさと話を切り上げるのが常なのだが、不思議とコンスタンスからの誘いには応じようとする想いがアラミスの心を覆う。
それは彼女の境遇を知った所為だと、心の中で無理矢理自己弁護するアラミス。
心の中で誤魔化しきれなくなりそうな予感に怯えて、気持ちとは反対の言葉を漏らさずにおれなくなる。
「ご主人がいらっしゃるのに、私とお茶を飲むのは・・・やはり・・・」
歯切れの悪い言葉が並ぶが、その実、かなりコンスタンスに心が傾倒しているのも事実で。
建前上、そう言わねばならぬ想いが胸を更に苦しくする。
言いながら、ほろ苦い味が口の中に充満していく感覚に、遣る瀬無い気持ちが拍車を掛ける。
「貴重なお時間を割いて私の為に講義をして下さるアラミスさんに、
ささやかな感謝の気持ちを受け取っていただきたいだけなのです。
・・・それでも駄目でしょうか?」
自分を見上げる眸に、何よりも清らかな想いが溢れ出す。
余計な邪心など一切もたず、ただ感謝の気持ちを受け取って欲しいと願う
純粋な気持ちを無下に断ることなどできようか。
こんなに真摯な気持ちで懇願されてもなお、断る者がいたとしたらそれは、人の心を持たぬ者に違いない。
コンスタンスの懸命な想いがアラミスの心を揺さぶる。
「・・・ではお言葉に甘えて、少しだけ」
微笑みながら返答するアラミスを見て、パッと華やいだ表情がコンスタンスの顔を彩る。
それはまるで蕾だった薔薇が、一気に咲きほころぶような艶やかな表情のまま、アラミスの眸に焼き付いた。
かつてないほどの意識の乱れが、アラミスの心に大きな波紋を投げ掛ける。
状況に流されてしまいそうになる心を必死に抑え込んで、アラミスは再び椅子に腰をおろすのだった。
「どうぞ。お口にあうかどうか分かりませんが、召し上がってください」
丁寧な手付きで淹れられた紅茶が、琥珀色の小波を立てる。
「では、遠慮なくいただきます」
カップに口を付けた瞬間、甘く浸透していく魅惑的な香り。
心地よい安らぎを誘うような、ゆっくりと流れる時間にこのまま溺れてしまいたくなる。
油断していると心まで手放してしまいそうになる穏やかな雰囲気は、コンスタンスと共に此処に居るという現実から齎されているようで。
交わす言葉は少なくとも、何故か深く心が通じ合っているような感覚に
緩やかな眩暈を感じずにはいられない。
「・・・こんなに落ち着いた時間を過ごすのは、生まれて初めてです」
ポツリと零した言葉の響きが切ない音色となって、アラミスの耳に届く。
僅かに伏せた睫の先が、微かに震えだしているようなコンスタンスを見て、アラミスの動機が急に高まる。
「私の講義は、堅くてつまらないと言って皆が皆すぐに辞退していきました。自分でも常にそう感じています。すぐに説教くさい語り口になってしまうから。元神父としては失格ですね、これじゃ」
コンスタンスの心を察して、わざと自分を貶める口調で湿っぽくなりそうな話を回避しようとしたアラミスだったが、それは無駄骨に終わった。
「いいえ!アラミスさんのお話は私にとって、本当に為になっているんです。教えていただける事がどんなに大切なのかを、私はアラミスさんに聖書を教えていただいて身をもって知っています!」
「コンスタンス・・・貴女は・・・」
話を必死に覆そうとするコンスタンスの意識の底には、自分に対しての止め処ない信頼が大きく影響していると間接的に分かって、アラミスの意識にも僅かだが変化が起こり始めた。
「ごめんなさい。大きな声を出してしまって。・・・でも、それだけ今の私にとって、アラミスさんの聖書の講義はとっても大切なひとときなんです」
真摯な気持ちに裏打ちされた言葉を投げ掛けられて、心動かされないわけがない。
ましてや、自分と同じ感覚を共有していると思われる人間の、心からの叫びは何にもまして、自分の中に眠っていた強く激しい気持ちを、みるみるうちに呼び覚ましていく。
新鮮な驚きと引き換えに紡ぎだした言葉の欠片は、温かい想いに満たされた透明な雫となってコンスタンスの心へと降り注ぐ。
まっすぐ直向な想いに彩られた言葉の雫を受け止める心もまた、柔らかな思いの泉で満たされていて。
「ありがとう、コンスタンス。貴女からいただいた言葉のプレゼント・・・ずっと大切にします」
呻くように呟いた言葉に込められた真実。
僅かに緩んだ目元が、限りなく優しい想いを宿してコンスタンスを見つめ返す。
「・・・これからも聖書の講義を教えていただきたいと願い続けても、ご迷惑ではありませんか?」
潤みきった眸の奥で、揺るがないまま映りこんだ自分の姿と対峙したアラミスは強く答えるのだった。
「迷惑だったら最初から貴女には講義をしていません。私も貴女と同じ気持ちで、貴女への聖書の講義はとても大切な時間なのです」
交し合う視線の中に言葉にできない想いが紛れ込み、魂同士が触れあう感覚がふたり同時に沸き起こっていく。
いつか何かのきっかけで、心が結ばれていく予感を漠然と感じながら、今はただ、このひとときが少しでも長く続けばいいと願わずにいられないふたりだった。
滑らかな動きで席を立とうとする長身の銃士を、コンスタンスは慌てて押し留める。
咄嗟の思いで放った言葉は、微かな焦りを伴って部屋に染みこむ。
「待ってください、アラミスさん。もしお時間の都合がよろしければ、
一緒にお茶でもいかがですか?美味しいお菓子をいただいているので」
歩き出そうとした男に背後からそっと追い縋る眸は、何かを訴え掛けているような直向さが滲んでいた。
一心に見つめられると、逸らすことが出来なくなりそうな眩い煌きを宿した眸は、しなやかな情熱が秘められている気がした。
魅惑的なと言ったら語弊があるのかもしれないが、少女のような佇まいの中に、香しい女性の色香をひっそりと滲ませたような雰囲気に、いつしか惹かれていきそうになる自分に気が付いて。
普段なら数多の御婦人からのお誘いをやんわりと断る常套句を駆使して、
さっさと話を切り上げるのが常なのだが、不思議とコンスタンスからの誘いには応じようとする想いがアラミスの心を覆う。
それは彼女の境遇を知った所為だと、心の中で無理矢理自己弁護するアラミス。
心の中で誤魔化しきれなくなりそうな予感に怯えて、気持ちとは反対の言葉を漏らさずにおれなくなる。
「ご主人がいらっしゃるのに、私とお茶を飲むのは・・・やはり・・・」
歯切れの悪い言葉が並ぶが、その実、かなりコンスタンスに心が傾倒しているのも事実で。
建前上、そう言わねばならぬ想いが胸を更に苦しくする。
言いながら、ほろ苦い味が口の中に充満していく感覚に、遣る瀬無い気持ちが拍車を掛ける。
「貴重なお時間を割いて私の為に講義をして下さるアラミスさんに、
ささやかな感謝の気持ちを受け取っていただきたいだけなのです。
・・・それでも駄目でしょうか?」
自分を見上げる眸に、何よりも清らかな想いが溢れ出す。
余計な邪心など一切もたず、ただ感謝の気持ちを受け取って欲しいと願う
純粋な気持ちを無下に断ることなどできようか。
こんなに真摯な気持ちで懇願されてもなお、断る者がいたとしたらそれは、人の心を持たぬ者に違いない。
コンスタンスの懸命な想いがアラミスの心を揺さぶる。
「・・・ではお言葉に甘えて、少しだけ」
微笑みながら返答するアラミスを見て、パッと華やいだ表情がコンスタンスの顔を彩る。
それはまるで蕾だった薔薇が、一気に咲きほころぶような艶やかな表情のまま、アラミスの眸に焼き付いた。
かつてないほどの意識の乱れが、アラミスの心に大きな波紋を投げ掛ける。
状況に流されてしまいそうになる心を必死に抑え込んで、アラミスは再び椅子に腰をおろすのだった。
「どうぞ。お口にあうかどうか分かりませんが、召し上がってください」
丁寧な手付きで淹れられた紅茶が、琥珀色の小波を立てる。
「では、遠慮なくいただきます」
カップに口を付けた瞬間、甘く浸透していく魅惑的な香り。
心地よい安らぎを誘うような、ゆっくりと流れる時間にこのまま溺れてしまいたくなる。
油断していると心まで手放してしまいそうになる穏やかな雰囲気は、コンスタンスと共に此処に居るという現実から齎されているようで。
交わす言葉は少なくとも、何故か深く心が通じ合っているような感覚に
緩やかな眩暈を感じずにはいられない。
「・・・こんなに落ち着いた時間を過ごすのは、生まれて初めてです」
ポツリと零した言葉の響きが切ない音色となって、アラミスの耳に届く。
僅かに伏せた睫の先が、微かに震えだしているようなコンスタンスを見て、アラミスの動機が急に高まる。
「私の講義は、堅くてつまらないと言って皆が皆すぐに辞退していきました。自分でも常にそう感じています。すぐに説教くさい語り口になってしまうから。元神父としては失格ですね、これじゃ」
コンスタンスの心を察して、わざと自分を貶める口調で湿っぽくなりそうな話を回避しようとしたアラミスだったが、それは無駄骨に終わった。
「いいえ!アラミスさんのお話は私にとって、本当に為になっているんです。教えていただける事がどんなに大切なのかを、私はアラミスさんに聖書を教えていただいて身をもって知っています!」
「コンスタンス・・・貴女は・・・」
話を必死に覆そうとするコンスタンスの意識の底には、自分に対しての止め処ない信頼が大きく影響していると間接的に分かって、アラミスの意識にも僅かだが変化が起こり始めた。
「ごめんなさい。大きな声を出してしまって。・・・でも、それだけ今の私にとって、アラミスさんの聖書の講義はとっても大切なひとときなんです」
真摯な気持ちに裏打ちされた言葉を投げ掛けられて、心動かされないわけがない。
ましてや、自分と同じ感覚を共有していると思われる人間の、心からの叫びは何にもまして、自分の中に眠っていた強く激しい気持ちを、みるみるうちに呼び覚ましていく。
新鮮な驚きと引き換えに紡ぎだした言葉の欠片は、温かい想いに満たされた透明な雫となってコンスタンスの心へと降り注ぐ。
まっすぐ直向な想いに彩られた言葉の雫を受け止める心もまた、柔らかな思いの泉で満たされていて。
「ありがとう、コンスタンス。貴女からいただいた言葉のプレゼント・・・ずっと大切にします」
呻くように呟いた言葉に込められた真実。
僅かに緩んだ目元が、限りなく優しい想いを宿してコンスタンスを見つめ返す。
「・・・これからも聖書の講義を教えていただきたいと願い続けても、ご迷惑ではありませんか?」
潤みきった眸の奥で、揺るがないまま映りこんだ自分の姿と対峙したアラミスは強く答えるのだった。
「迷惑だったら最初から貴女には講義をしていません。私も貴女と同じ気持ちで、貴女への聖書の講義はとても大切な時間なのです」
交し合う視線の中に言葉にできない想いが紛れ込み、魂同士が触れあう感覚がふたり同時に沸き起こっていく。
いつか何かのきっかけで、心が結ばれていく予感を漠然と感じながら、今はただ、このひとときが少しでも長く続けばいいと願わずにいられないふたりだった。
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