クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
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第10話より ~兆し~
※前回UPしたお話もどきにボタンを押してくださった方、ありがとうございました!
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何故だろう……?
この方の前では、自分の中だけで押し止めなければならない不安を、
包み隠さず話せるような気がする。
それは、漠然とした気持ちなのかもしれないけれど……
澄み切ったアイスブルーの眸は、嘘や偽りの言葉を断じて赦さぬ強さの中に紛れて、
弱さや脆さをまるごと掬い取ってくれる慈愛に満ちた心が溢れている気がした。
「……貴女も、やはり……」
その先の言葉を言わずして、私に向け視線を落とす真意を受け止めながら、
私の胸の奥で微かなさざ波が起きた。
予期せぬ心の揺らぎに、唇から放たれた言葉が僅かに震え出す。
「今はただ……このまま何事も起こらぬ事を祈るばかりです」
離れていく船影を見つめながら、隠しきれない不安を口にせずにいられなかったのは、きっと……
「……どうやら私も、貴女と同じ懸念を抱いているようだ」
人に安らぎを与えるような、落ち着いた張りのある声が耳にするりと馴染んでいく
不思議な感覚が私を包み込む。
「……どうかこのまま、何事もなく……」
明け方の空に言葉が滲む。
同じ行く手を不安げに見つめるのは、私だけではないと気付いた瞬間から・・・・・・
私の中の何かが動き始めた。
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