クローバーの独り言
新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.
[29] [28] [27] [26] [25] [24] [23] [22] [21] [20] [19]
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
窓越しの祈り 第29話~30話の間
この前まで御礼ページにUPしていたお話です。
よろしかったらどうぞ。
夜と朝の境界線が混じり合う、明け方の空。
空の端でまどろむ闇を追いやるように、広がり始める夜明けの光。
窓越しに佇む貴方の顔に、決意の表情が浮かぶ。
澄み切った眸の奥で、言い知れぬ想いが揺れていた。
その覚悟に触れた瞬間、思わず駆け寄り窓に両手を付け、
最後まで口に出来なかった想いを解き放つ。
「どうかご無事で……」
涙が一筋、頬を伝い落ちる。
貴方は微かに微笑むと、窓越しの私の両手に重なり合わせるようにして、窓に手を付く。
たった一枚のガラスは、私と貴方の想いを隔てている、互いの状況を表しているようで。
お互いの手の温もりは伝わらないはずなのに、指先を通じて行き交う想いは
貴方と私の気持ちを強く深く繋ぎとめていた。
・・・・・・たった数秒だけの、窓越しのくちづけ。
貴方は私の眸を見つめ、ゆっくりと頷き・・・・・・そして前を振り返り、二歩三歩と離れていく。
貴方の背中に差し込む朝日の煌きは、天から零れ落ちる光の涙となって、
貴方の行く先を指し示す。
神様・・・・・・どうか、どうかあの人をお守りください!
涙で滲む視界の彼方で、遠ざかっていく貴方の背中をずっと見守る私だった。