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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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最終回後 毛糸の夢 ~アラミス&コンスタンス~

最終回後のアラミスとコンスタンス+αのお話です。


もし誰かに何かのきっかけで気持を託すことがあったとしたならば、こういう感じなのかな~?という漠然とした想いで書いてみました。
よろしかったらどうぞ!

「ただいま戻りましたぁ~」

静寂だった空間が一瞬にして華やかな色に塗り変わっていく。
まるで太陽の陽射しがそのまま部屋に入り込んできて、薄暗い空間を一気に照らし出すような明るい雰囲気が満ち溢れる。
満面の笑顔はまさに人に元気を与えるパワーそのもので光り輝く。
しかしその笑顔の裏側で深刻な事態にずっと向き合っていたという事実に気付いた時、改めてのこの女性の偉大さを認めずにはいられない。
気丈に振舞う一方で一向に気を取り戻す気配すら見えなかったポルトスを献身的に看護しながら、泣きたい気持ちを抑え続けていつも笑顔を絶やさずにいたコクナールに、コンスタンスは敬愛にも似た感情を抱いていた。

「お買い物お疲れ様です。市場はすごい人混みだったのではありませんか?」

編み物を続けていた手を休めて、コクナールに語り掛けるコンスタンスの表情に柔らかさが滲む。

「もうすっごい人でしたよぉ~!でも、見てくださいよぉ!こぉ~んなに買ってきちゃった♪見て!このカボチャなんかポルちゃんそっくり♪」

懐に一番大切に抱え込んでいたカボチャを取り出すと、愛おしそうに頬擦りするコクナールの笑みは純真な童女のように穢れないままでコンスタンスの眸に映る。
その眩しいまでの輝きはコンスタンスの心にある種の羨望を沸き起こらせた。


きっとポルトスさんと心から愛しあっているからこそ、こんなにも素敵な笑顔が・・・・・・


そう思い至った瞬間、小さな小さな棘がコンスタンスの胸に刺さり、僅かな傷跡から一滴ずつ零れ落ちていく血の涙。
ポタリ、ポタリとゆっくり胸の谷間に落ちていく血の涙を真っ黒な闇の先で掬い取っている面影が脳裏に浮かぶ。


『コンスタンス・・・・・・』


哀しげな色を称えて、静かに微笑みかけるアラミスの顔を思い描いた時、全身を一閃で切り刻まれるような激しい痛みが襲った。
ずっと一つだった生木を一気に引き裂かれるような幻覚を覚えながら、唇を強く噛み締めつつ、コンスタンスは今にも泣き出しそうになるのを堪え続けていた。
ふとしたきっかけで崩れ落ちそうになる心を支えていたのは、自分が哀しい顔をして塞ぎこんでいたらアラミスをきっと哀しませてしまうに違いないと思う、なけなしのプライド、ただそれだけであった。

もし目の前にいるコクナールが自分と同じ立場に立っていたのなら、きっと彼女は感情が溢れ出るままに己の気持ちに忠実だったに違いない。
それはおそらく王妃もまた同じ想いを有しているようにも思えた。

理性的で我慢強いといえば聞こえがいい。
しかしその実態は、勇気がなくて、自分が己の気持に忠実になることで相手に迷惑が掛かるに違いないと憂慮する意気地なしで、本当は思うが侭に生きてみたいのに一歩を踏み出せなくて。
何かしかの理由を付けなければ、行動を起こせない自分の性格が恨めしくて。

どんどんと深い苦悩に嵌まっていきそうになる自分を、我に返らせる言葉が部屋に響いた。


「あらぁ~♪コンスタンスさん、とっても編み物がお上手なのねぇ~♪ちょっと見せていただいてもよろしいかしら!?」

自分を呼ぶ屈託のない明るい声に、迷いの迷宮から心を引き戻されたコンスタンスは咄嗟に笑顔を浮かべてコクナールに話し掛ける。

「お上手なんてお恥ずかしいですわ。・・・・・・編み掛けのものですけど、よろしかったら手にとって御覧になってくださいな」

「では、遠慮なく!・・・・・・・これって、もしかして三銃士の皆さんに編んでいらっしゃったのかしら?」

興味深そうに丁寧に一つずつ手にとって観察するコクナールの表情は真剣そのもの。
明るい声で人の心を和ますコクナールと話しているうちに、コンスタンスも少しずつ緊張がほどけていくのが分かった。

「ええ。主人には既に編み上げて渡してあるので。中途半端に毛糸が余ってしまったから、昨日市場で新しい毛糸を買ってきて編み始めたところなんです。編み物をしているその時だけは、とても穏やかに時間を過ごせるから、私にとって貴重なひとときなんです」

するすると口をついて出た言葉に嘘はなかった。
コクナールと話していると、何故か素直な気持を話さずにはいられない自分にコンスタンス自身も薄っすらと気付き始めていた。

「この可愛らしい腹巻はポルちゃんね!こっちの暖かそうな帽子はきっとアトスさん!・・・・・・そしてこの素敵なマフラーはアラミスさんのでしょ?」

アラミスの名がコクナールの口から迸った瞬間、全身が僅かに身震いした。
それはほんの一瞬だったけれど、まだ自分の中で彼の存在がずっと息衝いているという何よりの証だった。
そんな自分の微妙な雰囲気など気付くはずもなく、コクナールが次に紡いだ言葉にコンスタンスは蒼ざめるのだった。

「この毛糸、アラミスさんが一番好きそうな色みたい♪すっごく穏やかで優しい感じが漂ってくるぅ~!!」

「偶然ですッッ!!!・・・・・・それに編み上げたものを皆さんに差し上げたとしても・・・・・・きっとアラミスさんだけは受け取らないでしょう・・・・・・」

突然それまでの落ち着いた雰囲気を断ち切るような鋭い声がコンスタンスの口から漏れた。
その声を聴きながらコクナールは、コンスタンスが血を吐く想いでこの言葉を口にしたのかもしれないと直感で感じ取っていた。
呆然と項垂れたような気配を漂わせて立ち尽くすコンスタンスの姿を見ていたコクナールの心境に変化が起きた。
それは同じ女として分かち合えることの出来る、ただ一つの願いだと。

「ごめんなさい、私、突然変な事言っちゃって・・・・・・。ねぇ、コンスタンスさん、今からいう事を怒らないで聴いて欲しいんだけどぉ~。この編み物・・・・・私が編んだことにして皆さんに差し上げたら、アラミスさんも受け取ってもらえるんじゃないかと。・・・・・・せっかく編んだのにこのまま上げないでいたら、何だかこの毛糸たちが可哀想だわぁ~;;;」

コクナールが自分の為を想って、わざわざそう切り出してくれたのは痛いほど分かっている。
しかし心のどこかで、諦めにも似た遣る瀬無い気持が無意識に歯止めを掛けているのも事実で。

「でも・・・・・・」

「私に任せてくださいなぁ~♪いっつもお世話になっているんですから、こんな時くらい大家さんのお役に立ちたいんですよぉ~!」

励ますように肩を軽くポンポンと叩いて、ウインクを投げ掛けるコクナールの愛嬌ある仕草に、何かを託したい気持が込み上げてくるのを止められない。

「・・・・・・お願いしてもいいんでしょうか・・・・・・?」

「想いっきりお願いしちゃってくださぁ~い♪このコクナールちゃんにお任せあれぇ~!!」

胸をドンと叩きながら笑い掛けるコクナールの目元を、窓から射し込んだ柔らかな光が照らし出した。


******


「おおッ!これコクナールちゃんが編んでくれたのぉ~?ありがとさん~~!!!」

手にした腹巻を頭の上に掲げて、相好を崩すポルトスの笑顔に更なる円やかさが宿る。

「俺、早速これを銃士服の下に巻いて、見回りに行ってくらぁ~!何だかタニヤンの奴がリシュリューにコクナールちゃんが縫ってくれたお手製のマントを見せびらかしに行った気持が今になって分かるねぇ~♪・・・・・・んじゃ、見回り行ってくるわ!」

鼻歌を歌いながら意気揚々と階段を下りていくポルトスのステップは軽快そのもの。
嬉しさを堪えきれないような感じで見回りに出て行った彼の背中を見つめながら、アトスも後に続く。

「俺もこの帽子を被りながら、今から酒の調達に行ってくるわ!ありがとよ、コクナールさん!今夜も上手い酒が飲めそうだぜぇ~♪」

「ハイ~!」

指先に帽子を引っ掛けてクルクルッと廻しながら、ヒョイッと格好良く頭に載せたアトスもまた階段を踏み鳴らしながら部屋を出て行った。

二人が出て行った後、残るのはアラミスただ一人。
読んでいた本を手元に置いたまま、ずっと何かを考え込んでいるように押し黙るアラミスを見てコクナールは誘いの水を向ける。

「・・・・・・あのぉ~。お気に召さなかったかしらぁ~?」

少しオドオドした調子で言葉を紡ぐコクナールに対し、一瞬だけ怯んだ様子を浮かべたアラミスは次の瞬間、静かな笑みを称えつつ、超弩級の爆弾発言を彼女に対してぶちまけるのだった。

「・・・・・・お気持だけはありがたく受け取りますが、このマフラーはいただく事は出来ませんと彼女に御伝え願えますか」

淡々と抑揚ない口調で語り掛けるアラミスの眸は、しんと静まり返った神秘の湖のように澄み渡っていた。
そのあまりに常人離れした静かで奥深い心の前では、一切の嘘はつけないと痛感するコクナールだった。

「・・・・・・私が編んだんじゃないと、御存知だったんですかぁ~?」

食い下がるコクナールに対して、アラミスは瞼を伏せたまま小さく呟く。

「この繊細な網目には・・・・・・見覚えがあります」

アラミスの落ち着き払った声を聴きながら、コクナールは心底実感した。
この二人はあまりにも似過ぎているのだと。
互いの立場を思い遣るが上に、自らの願いを捩じ伏せてきた現実に、抗う術を放棄しつつある姿がとても痛々しい。


一緒になるのが許されぬ二人であるのなら、なおのこと届けなければならぬ想いがある!


矢も立ても堪らず、思わず口にした言葉にアラミスが僅かに反応した。

「アラミスさんはきっと受け取らないだろうって、私に言ってましたよ、コンスタンスさん。それでもなお、私が編んだと嘘をついてまでアラミスさんに届けたかったのは、彼女が今も貴方を愛しているからですっっ!!!彼女は無意識にこの毛糸を選んだんですよ?アラミスさんが一番好むであろう色で、きっと心の奥底ではアラミスさんの事をずっと想い続けながら編んだんですよっ!?それを想ったら・・・・・・受け取らないなんて哀しいことは仰らないでください。首に巻かなくてもいい。せめてアラミスさんの手元に置いてあげてはもらえませんか?このマフラー・・・・・・」

言いながらポロポロと涙を零し続けるコクナールを見ながら、祈りにも似た穏やかな気持に満たされていく自分にアラミスは気付いていた。

あの人を忘れるはずがない。
自分がこの世と別れを告げるその瞬間まで、ずっと息衝いているであろうその想いを、根こそぎ絶やす事など到底無理だと一番分かっているのは、この自分。

もし一つだけ願いが許されるのであれば・・・・・・・私はあの人の幸せを・・・・・・幸せをただ祈るだけ。


「貴女を泣かせてしまったのをポルトスが知ったら、私は彼にこっぴどく怒られるでしょうね」


その言葉にハッとして顔を上げたコクナールに、自らのハンカチを差し出してアラミスは語り掛ける。

「私好みの色でした・・・・・とだけ、伝えていただけますか?」

部屋に入り込んだ陽射しを背中から受けて、逆光の中で微笑むアラミスの目元に一瞬だけ光る雫が浮かんだのを見たのは・・・・・・・夢だったのだろうか?

「ハイ、必ず!」

その言葉に小さく頷いたアラミスの顔に、コンスタンスの笑顔が重なるのを見たコクナールだった。

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