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クローバーの独り言

新.三.銃.士の感想とかお話もどきを気儘に書き綴ってます。 Copyright ? 2010- Koufuu Biyori All rights reserved.

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夢一夜 第11話頃

本編が凄いことになっているので、
自分の気持ちを落ち着かせるために書いた話です。
この先、一体全体どうなってしまうのやら;;;

※昨日UPしたお話は、一旦引っ込めました。

今宵の月は、いつにも増して青白く澄んだ光に包まれていた。
幽玄でありながらも、気高さを滲ませた月の光は、そう、あの方の佇まいに似ている気がする。
闇夜を静かに照らす月から零れ落ちる、一際鮮やかで荘厳な青白い月光は、
暗闇に紛れ込んだ迷子に道を指し示す、神の優しさにも似て。
あの方の眸の色に似ている月を見ていると、何故か心惑わされそうで・・・・・。


「・・・・・・今宵の月は、とても綺麗な光を放ってますね」


ぼんやりと月を見上げながら、夜風に身を任せていた私に届いた声。


「・・・・・えっ・・・・・・」


慌てて背後を振り返る私に、あの方はそっと微笑み返すだけ。
さっきまで眺めていた月の光と、驚くほど似ているあの方の眸の色に、思わず吸い込まれそうになる。

「・・・・・・他の方々と、食事に行かれたはずでは?」

まだ驚きが止まらない私は、かなり的外れな問い掛けを、あの方に向け放つ。
困惑を隠しきれないまま、口をついて出た言葉は、動揺がかなり紛れ込んでいた。

「彼らはまだ飲み足りないので、次の店に向かいました。・・・・・さすがに私は、
彼らのペースにはこれ以上ついていけなくて、一足先に戻ってきたのです」

「・・・・・・そうでしたか」

さっきまでの動揺を辛うじて押さえ込んだまま、私はあの方に視線を向ける。
周囲を闇で埋め尽くされた中で、青白い月の光を身に纏いつつ凛として立つ姿は、
神がこの世に遣わした天の使いにも思えてきて。

神秘的な光にすら劣らぬほどの、高貴な輝きが身体の内側から放たれているかのように
あの方は神聖な佇まいのまま、私の眸に映りこむ。
気軽に声など掛けられない気配を薄っすらと感じて、心が僅かに萎んでいく。
そんな私の想いを感じ取ってくれたかのように、あの方の口から零れ出た声が闇を切り崩す。

「・・・・・・いつもこうして、月を眺めていたのですか?」

思い掛けないあの方の問い掛けに、心が震える。
言葉の向こう側で、あの方が真に問い掛けたい心の動きが、見えてしまったから。


『貴女は、辛いときや淋しいとき、こうしていつもひとりで月を眺めていたのではないですか?』


僅かに瞼を伏せて、自嘲気味に答える声が震える。
あの方の眸を見ていたら、きっと何もかも洗いざらいぶちまけてしまいそうな自分が分かるから。


あの方に私の弱さを見せたくない。
あの方に心配を掛けたくない。


自惚れとは知りつつも、そんなちっぽけな自尊心を悟られぬように、私は私の心を隠す。
それはきっと・・・・・・あの方に好意を持ち始めているかもしれない予感が、
私の心を埋め尽くしているから。

「可笑しいですよね。こうしてひとりで月を見上げているなんて」

わざと道化て話す心の奥で、もう一人の私が救いを求めて叫ぶ。
それをわざと無視して敢えて無機質な口調で喋る私に、あの方は一瞬だけ哀しげな表情をすると、
闇の狭間に言葉を漏らした。


「・・・・・・似ているな、貴女は。・・・・・・昔の私に」


あの方が他人事のような口調で言い放ったのは、これ以上私を追い詰めない為だと気付いた時、
私の心に走った衝撃。


「・・・・・!・・・・・」

思わず顔を上げた瞬間、私の眸に飛び込んできたのは、青白い月の光を宿した、あの方の澄んだ眸の色。
そのあまりの神々しさに声が出せない私に、あの方は穏やかな声で私を諭すのだった。

「いつかきっと貴女も気付かれるでしょう。・・・・・・貴女を心配している人達が、貴女の傍に
いつもいるという事を。・・・・・・では、お休みなさい」

フッと微笑むあの方の姿が、月の光と同化して闇夜の中で一際明るい光を周囲に放つ。
ゆっくりと身を翻して去っていくあの方の背中を、目を凝らして見つめる私に、夜の風は優しく囁く。
私の視界からあの方の姿が消えるまで、夢の中の出来事が目の前で起こったような感覚に、
私の心はいつになく激しく揺れるのだった。

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